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2008年(平成20年) 2月10日(日)付紙面より

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森の時間 1  ―山大農学部からみなさんへ―

もっと「森の時間」を楽しみましょう  平 智
 山形県のような積雪寒冷地に暮らしている私たちにとって春の訪れは本当に待ち遠しいものです。

 庄内地方の名物でもある地吹雪の季節をなんとかやり過ごすことができれば、まもなく、あらゆるところで生命のエネルギーが噴出する、あの素晴らしい季節が間違いなくやってきます。

 待ちわびた春はとても素晴らしいものです。木々の芽がふくらみ始めるころの森では、雪解け水の音も聞こえるようになります。冬の間に山々はたくさんの水を蓄えて、私たちに少しずつプレゼントしてくれます。

 まもなく新緑のシーズンの始まりです。雪のせいでちょっとご無沙汰していた、あのまぶしいばかりの緑のシャワーが降りそそぐ空間が再び私たちのものになるのです。

 夏には「こもれびを楽しむ会」でも結成して森に出かけましょう。なにも山頂まで登る必要はありません。すぐ近くにある雑木林で十分です。こもれびのエネルギーをからだ全体で感じることができれば、ただそれだけでいいのです。

 目の前にある木や、頭の上にあって愛しいこもれびの空間を与えてくれる木々。そんな木々たちの名前を知っていればなおいいですが、別に分からなくても、森の優しい木々たちは決して怒り出したりはしません。私たちはただそこにいるだけで、心の底から癒やされるのです。

 つかの間の秋は足ばやに通り過ぎていきます。その見事な、紅(黄)葉という名の、季節限定の装いをしっかりと見届けるのは意外に難しいものです。年によっては森の方がへそを曲げて、あんまり熱心におしゃれしないこともあります。

 しかし、まもなく訪れる厳しい季節を恐れることもなく、森は落ち葉のじゅうたんを敷きつめて私たちを迎えてくれます。
 庄内には森がたんとあります。野生の動物もうんといる、多種多様な植物が息づく豊かな森が。

 森に流れる時間…日々の生活に追われる私たちのまわりに流れる時間とは違う…そんな時間が森には流れているのです。

 もっと「森の時間」を楽しみましょう。もしかすると、私たちのからだの奥深いところにまだ流れ続けているかもしれない「森の時間」を。私たちの先祖はその昔、森で暮らしていたのですから。

 「森の時間」をもっともっと楽しむため、ヒントになるような連載をスタートしたいと思います。たとえば、

 ・私たちの身のまわりにある森の文化
 ・森歩きの楽しみ方
 ・森に暮らす生きものの知恵や工夫
 ・森をフィールドにしたおもしろい研究
などを話題にして。

 写真は酒田市在住の自然写真家、斎藤政広さんが担当してくださいます。

 月1回の連載予定です。どうぞお楽しみに。 春よ、来い!

(山形大学農学部教授、専門は園芸学および人間・植物関係学)

芽吹き始めたブナの森―金峯山から=2004年4月18日、自然写真家・斎藤政広撮影
芽吹き始めたブナの森―金峯山から=2004年4月18日、自然写真家・斎藤政広撮影



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