2008年(平成20年) 10月22日(水)付紙面より
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庄内柿の一種「孝子丸」の収穫が鶴岡市羽黒町松ケ岡の匹田二三さん方の農園で始まった。
孝子丸は1983年に匹田さんの夫の故・孝士さんが在来種・平核無(ひらたねなし)の枝変わりとして発見。接ぎ木で殖やし、91年に品種登録を受けた。在来種に比べ粒が大きく丸みがあり、上品な甘さが特徴。現在は孝士さんの遺志を引き継いだ二三さんが1ヘクタールの柿畑で約200本を有機栽培している。
収穫は21日から本格的に始まった。二三さんは「好天に恵まれ、粒も大きく色づきが良く、平年より2、3日早い収穫になった。今年は甘くておいしい柿ができそうだ」と笑顔で話し、丸々に太った柿の果実を一つ一つ丁寧にもぎ取っていた。
収穫は今月下旬まで行われ、来月1日ごろから本格的に出荷される。問い合わせは孝子丸農園=電0235(62)2707、ファクス020(4663)6228=へ。
「孝子丸」を収穫する二三さん
2008年(平成20年) 10月22日(水)付紙面より
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長年、南米・ペルー共和国で植物・鉱山の研究に携わった故塩田哲夫さん(1941―2003年)が栽培していた同国原産の食用ホオズキ(通称・塩田ホオズキ)を使用した料理の試食会が20日、酒田市のレストラン欅で開かれ、関係者が特産化の可能性を探った。
塩田さんは東京都出身。秋田大鉱山学部卒業後、ペルーに渡り、同国鉱山局を経て、アンデス資源開発研究所長、アンデス農業生物資源研究所長などを歴任。1996年に帰国した後、農作物を育てることで主として子供たちの精神の安定を図る「園芸セラピー」に取り組もうと、秋田県内でペルー原産のさまざまな植物を栽培していたが、志半ばで2003年6月に死去した。
塩田さん死去後の04年、旧知の間柄だった酒田市の前田製管相談役・前田直己さんが、塩田さんの姉から塩田ホオズキの種子を譲り受けた。前田さんは「酒田の特産品にできないか」と考え、山形大農学部の五十嵐喜治教授に発芽を依頼。県農業総合研究センターで増殖させるとともに、同市の庄内バイオ研修センターで酒田の気候・風土への適性試験を行ってきた。
今回の試食会は、特産品としての可能性を探ろうと、同研修センターがレストラン欅の太田政宏総料理長の協力で企画した。農業・観光関係者ら約30人が参加。同研修センターが今年5月から栽培、このほど収穫した塩田ホオズキが使われた。
試食に先立ち前田さんが「塩田さんの遺志を継ぎ、事業化できるよう皆さんの力を借りたい。今日はファーストステップ、次に向け協力を」、同市の中村護副市長が「香り、味、見た目とも素晴らしい。地域の新しい特産品に育ててもらいたい」とそれぞれあいさつした。
参加者は、太田総料理長が調理した▽ホウボウのソテーのホオズキソース▽タルト▽シャーベット―の3品を試食。県庄内総合支庁酒田農業技術普及課の大場裕子課長は「いろいろな食感が楽しめると思う。果物と野菜の中間という感じ。普及課としても普及に協力していきたい」と述べた。
太田総料理長は「酸味と甘味がマッチした素晴らしい味。お菓子の素材としてさまざまな使い方がある。できるだけ多く手に入れたいくらい」と絶賛。前田さんは「塩田さんの名前は残していきたい。酒田の農家の皆さんから受け継いでもらえたら」と話していた。
塩田ホオズキを使用した料理に舌鼓