2008年(平成20年) 11月2日(日)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館(村上龍男館長)で、オワンクラゲを発光させることに成功し、1日から関連する緑色蛍光タンパク質(GFP)に関する資料とともに特別展示が始まった。
米ボストン大名誉教授の下村脩さんのノーベル化学賞受賞をきっかけに、一躍脚光を浴びることになったオワンクラゲは、同館では数年前に繁殖に成功し、現在は安定して常設展示している。しかし天然のものと違い、繁殖した個体は発光しなかった。
先月24日、下村さんから「村上館長からいただいた受賞祝いの電報と写真集へのお礼」と同館に電話があり、会話の中で村上館長が「展示しているオワンクラゲが光らない」と伝えたところ、三重大の寺西克倫教授を紹介してもらった。
寺西教授は「発光基質のセレンテラジンを与えてみては」とアドバイスし、セレンテラジン25ミリグラム分を譲ると約束。同館では同31日、届いたセレンテラジンを餌のシロクラゲに混ぜオワンクラゲに与えたところ、数分後にかさの部分がわずかに緑色に光った。
これに前後する同27日、東京大でメディカルゲノム(医学的全遺伝情報)を専攻する田口英樹准教授が同館を訪れ、研究室で培養したGFPを寄贈した。
1日からは同館クラゲ展示室「クラネタリウム」の一角で、ブラックライトに照らされ淡い光を放つオワンクラゲ1匹と、GFPが入った試験管を併設して特別展示。午前中から大勢の家族連れなどが足を運び、「光ってる、光ってる。すごいね」などと歓声を上げていた。
村上館長は「田舎の小さな水族館を立派な方々から応援していただき、こんなうれしいことはない」と感慨深げに語った。
わずかに緑色の光を放つオワンクラゲの展示が始まった=1日