2008年(平成20年) 11月4日(火)付紙面より
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全国各地の郷土料理を訪ね、日本の農業と食生活を考えるツアー「伝統食列車」の参加者が1日から3日まで2泊3日の日程で来庄した。1日夜は鶴岡市藤浪二丁目の産直「四季の里楽々」で地元住民と交流するとともに、庄内の大地が生んだ味に舌鼓を打った。
伝統食列車は、大阪を拠点に安全な食生活の重要性を訴えている「日本の伝統食を考える会」(宮本智恵子会長)が企画。1988年に米国内の農産物をPRするため来日した「アメリカントレイン」にヒントを得て、92年11月にスタートした。
当初はJRのお座敷列車をチャーターし、1回2―4都道府県を数日かけて回った。全国各地に伝わる郷土料理を食べ、地元住民と交流することで、「生産者と消費者が団結して日本の農漁業と食文化を守る」のが目的。
93年2月には列車第2号が旧藤島町を訪問。地元産の農作物を使った庄内の味覚を楽しんだ。以来15年が経過して今年、「もう一度、庄内の食文化に触れたい」と会員の声が高まり、今回の第17号は“アンコール列車”として再び庄内を訪問することになった。伝統食列車が同じ土地を訪問するのは今回が初めて。庄内側では鶴岡市や農協、地元料理クラブなどが実行委員会を組織し、受け入れ準備を進めてきた。
“列車の乗客”は大阪や京都、和歌山など関西を中心に、東京、神奈川、福岡、山形在住の会員計68人。1日午後に空路とバスで庄内入りし、産直「楽々」でわら筆、わらじ作りに挑戦した後、郷土食交流会に出席した。
この日のメニューは秋鮭の焼き物や弁慶おにぎり、みそと豚肉を使った庄内風芋煮、肉もちなど10品。「冷凍でも構わないから」という参加者の強い要望でだだちゃ豆も出された。いずれも地元の料理加工クラブ「あお空」(成澤久子会長)が前日から仕込みをしたもの。
参加者たちはバイキング形式で並んだ料理を次々と皿に取り、庄内の味を楽しんだ。地酒も振る舞われ、温かいもてなしに「どれもおいしい」と笑顔を見せていた。
一行は2日に月山パイロットファーム(鶴岡市三和)を見学。夜には市藤島公民館で鶴岡出身の作家・藤沢周平さんの小説に登場する郷土食を楽しんだ。最終日の3日は藤沢さんゆかりの地を訪ね、羽黒地域の宿坊で精進料理を味わった後、帰途に就いた。
「地物野菜がたくさん使われていて、ヘルシーでおいしい」と笑顔を見せる参加者たち=1日、楽々で