2009年(平成21年) 4月3日(金)付紙面より
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県は1日、北朝鮮が「人工衛星」として発射準備を進めている長距離弾道ミサイルに備え、市町村などを対象に情報伝達訓練を行った。送信対象の67カ所のうち、県庄内総合支庁や酒田市など21カ所で受信確認の返答が最大で1時間程度遅れ、伝達態勢や危機管理への意識の低さが課題となった。
ミサイル発射に関する情報が国から送られてくる場合に備え、県庁の県危機管理室から市町村や総合支庁、消防本部など関係機関への迅速な情報伝達態勢を確認するために実施した。訓練では、県危機管理室から県内35市町村などに「北朝鮮飛翔体発射事案に係る情報伝達訓練」と記された用紙1枚を防災行政無線システムで一斉ファクスした。市町村などは、受信後1分以内に確認ボタンを押し、ファクスを受け取ったことを報告。
県危機管理室によると、1日午後2時の訓練実施を前日までに伝えていたというが、送信後、1分以内に受信が確認できたのは46カ所。通信エラーが発生した酒田市平田総合支所以外の20団体は受信に気付かなかったか、ボタンを押し忘れるなどした。
庄内関係では、県庄内総合支庁、鶴岡市羽黒支所、酒田市、同松山総合支所、三川町、庄内町の計6カ所。荘内日報の取材に対し、庄内総合支庁総務企画部総務課は「受信後、庁内や水産課などへの連絡業務に取り掛かり、1分を超えてしまった」と説明。45分ほど経過してから受信に気付いた酒田市危機管理室は「年度始めの引っ越し作業や来客などで課内がバタバタし受信音を聞き逃した」、三川町の担当者は「申し送りせずにほかの業務で離れてしまい遅れた」とそれぞれ釈明した。
また、庄内町の担当者は「1分以内とは認識していなかった。すぐに押したつもりだが1分以内かは微妙」と話し、受信側が1分以内という説明が不十分だったことも明らかになった。
県危機管理室生活安全調整課は3日に再度訓練を実施するとし、「受信確認は今回初めて実施したが、1分以内という点が徹底されていなかった。反省を生かし、危機感を持って臨みたい」と話している。
県庁と各自治体などの間で行われた情報伝達訓練。伝達態勢に課題が残った=1日