2024年12月3日 火曜日

文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2009年(平成21年) 6月2日(火)付紙面より

ツイート

「火渡り」で迷い断つ 鶴岡 本明寺で山伏修験の行

 鶴岡市東岩本の不動山本明寺(大坂信快住職)で31日、庄内地区の寺院では珍しい山伏修験の行事「柴灯護摩(さいとうごま)」と「火渡り」が行われた。

 庄内では古くから月山、羽黒山、湯殿山の出羽三山で、山岳修験が隆盛。江戸時代まで羽黒山、月山は天台宗系統に、湯殿山は真言宗系統にそれぞれ属していたが、明治期の神仏分離令と修験道廃止令により寺禄を失い、基本的には神社となった。しかし、一部は寺院のまま修験道を受け継いでいる。

 湯殿山系真言宗の流れをくむ本明寺には、約320年前の1683(天和3)年に即身仏となった本明海宗和上人が祭られており、12年に一度の丑年御縁年に合わせて即身仏の衣替えを行うのが習わし。衣替えの記念行事として、薪を組み上げて柴(しば)をたき「転禍為福(てんかいふく)」(災い転じて福と為すの意)を祈る柴灯護摩が行われていたが、今回初めて火渡り行事も一緒に行うことになった。

 この日の午後2時すぎ、本堂前で大坂住職をはじめ10人の山伏が般若心経を唱えた後、近くの広場で柴灯護摩を行った。地元住民など200人余りの信者が見守る中、おのや弓矢を用いて魔を払う護摩法が繰り広げられた後、柴に火がつけられた。信者たちは身体堅固や諸願成就など願いを込め、火の中にお札を投げ込んだ。

 柴が燃え尽きるころ、薪ごと崩して火渡りの準備が行われた。火渡りは「火生三昧(かしょうざんまい)」と呼ばれ、物を焼いて質を変える力を持った火をはだしで渡ることで自己の迷いの心を焼き、すべての物事を最後までやり抜く強い力を得る修験の行という。

 まだ炎があちこちに見える炭の上を、山伏たちが渡り、祭壇に一礼。続いて希望する信者が列を作り、手を合わせながら次々と火の上を渡った。中には子供や孫を抱いて火渡りをする女性もおり、「ちょっと熱かった」と笑顔を見せていた。

 また、即身仏の古い衣服を小さく切ったものが、お守りとして信者に分けられた。眼病などに御利益があるという。

信者たちが手を合わせて次々と火の上を渡っていった
信者たちが手を合わせて次々と火の上を渡っていった



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

  ■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

ニッポー広場メニュー
お口の健康そこが知りたい
気になるお口の健康について、歯科医の先生方が分かりやすく解説します
鶴岡・致道博物館 記念特別展 徳川四天王筆頭 酒井忠次
酒井家庄内入部400年を記念し、徳川家康の重臣として活躍した酒井家初代・忠次公の逸話を交え事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第2部 中興の祖 酒井忠徳と庄内藩校致道館
酒井家庄内入部400年を記念し、庄内藩中興の祖と称された酒井家9代・忠徳公の業績と生涯をたどる。
致道博物館 記念特別展 第3部 民衆のチカラ 三方領知替え阻止運動
江戸幕府が3大名に命じた転封令。幕命撤回に至る、庄内全域で巻き起こった阻止運動をたどる。
致道博物館 記念特別展 第4部 藩祖 酒井 忠勝
酒井家3代で初代藩主として、庄内と酒井家400年の基盤を整えた忠勝公の事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第5部 「酒井家の明治維新 戊辰戦争と松ケ岡開墾」
幕末~明治・大正の激動期の庄内藩と明治維新後も鶴岡に住み続けた酒井家の事績をたどる。
酒井家庄内入部400年
酒井家が藩主として庄内に入部し400年を迎えます。東北公益文科大学の門松秀樹さんがその歴史を紹介します。
続教育の本質
教育現場に身を置く筆者による提言の続編です。
教育の本質
子どもたちを取り巻く環境は日々変化しています。長らく教育現場に身を置く筆者が教育をテーマに提言しています。
柏戸の真実
鶴岡市櫛引地域出身の大相撲の元横綱・柏戸の土俵人生に迫ります。本人の歩み、努力を温かく見守った家族・親族や関係者の視点も多く交えて振り返ります。
藤沢周平の魅力 海坂かわら版
藤沢周平作品の魅力を研究者などの視点から紹介しています
郷土の先人・先覚
世界あるいは全国で活躍し、各分野で礎を築いた庄内出身の先人・先覚たちを紹介しています
美食同元
旬の食べ物を使った、おいしくて簡単、栄養満点の食事のポイントを学んでいきましょう
庄内海の幸山の幸
庄内の「うまいもの」を関係者のお話などを交えながら解説しています

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field