2009年(平成21年) 8月12日(水)付紙面より
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1995年に約1600万年前の古代ゾウ「ステゴロフォドン」の化石が発見された鶴岡市田麦俣の田麦川で、8日から3日間、茨城県と群馬県の専門家らによる発掘調査が行われた。最終日の10日にはステゴロフォドンの臼歯とみられる化石1個が見つかった。調査チームの茨城県自然博物館の國府田良木副参事兼資料課長は「14年前に発見されたゾウとは違う別のゾウだと思う。臼歯が発見できたのは大収穫。本当に良かった」と話していた。
ステゴロフォドンは、上下合わせて4本の牙を持ち、日本を含むアジア各地の地層(約2300万年から180万年前)から発見されている。
田麦川では95年に当時、大網小学校の教頭を務めていた高橋修一さん(58)=天童市立津山小学校長=が理科の野外授業で訪れた際、偶然に臼歯が付いた頭部の化石を発見した。高橋さんは独学で化石を調べたが解明できず、群馬県立自然史博物館長の長谷川善和さんと國府田さんの2人に調査を依頼した。個体の鑑定や現地調査を行った結果、2004年にステゴロフォドンの上あごの骨であることが分かった。
これを受けて、高橋さんが化石を見つけた田麦川左岸の地層露頭で昨年8月から、本格的な発掘調査が行われ、ステゴロフォドンの乳歯のほか、肋骨(ろっこつ)や脊椎(せきつい)骨の化石が新たに見つかった。今年は國府田さんや長谷川さん、高橋さんら6人がチームを組み、調査した。
10日午後は掘削機などで作業を進めていたところ、黒光りする塊を発見。慎重に取り出したところ、ステゴロフォドンの臼歯とみられる化石(横8・5センチ、高さ6・5センチ、幅5センチ)だった。
國府田さんは「今回、発見されたものは歯根が残っており珍しい。同じ場所からステゴロフォドンの複数の個体の化石が発見されるのは世界でも例がなく田麦俣地区だけ。発見した化石を鑑定し、今後の研究に生かしたい」と話していた。
これまで田麦川で発掘されたステゴロフォドンの臼歯や肋骨などの化石は、10月1日から鶴岡市の月山あさひ博物村で展示される予定。
ステゴロフォドンの発掘調査を行う調査メンバー=10日、鶴岡市田麦俣