2009年(平成21年) 6月14日(日)付紙面より
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鶴岡市女性センター主催の「かがやき女性塾」の本年度第1講が12日、同センターで開かれ、大手家電メーカー・ソニーで初の女性管理職として活躍した同市出身の落合良さんが「庄内女性へのエール」をテーマに講演した。
自分らしく輝いて生きるヒントにしてもらおうと、さまざまな分野で活躍している人を講師に迎え昨年度から始めた。本年度は全体テーマを「未来(次)への一歩」と設定。第1講は公開講座として開催し、女性を中心に約90人が参加した。
落合さんは鶴岡一中、鶴岡南高を経て青山学院大英米文学科卒。1958年にソニー入社。大ヒット商品「ウォークマン」の販売戦略に携わるなどした。日本国憲法の人権と男女平等にかかわる条文を草案したベアテ・シロタ・ゴードンさんを描いたドキュメンタリー映画「ベアテの贈りもの」の製作委員会副代表を務める。荘内日報社発行のフリーペーパー「敬天愛人」に「きのう・きょう・そしてこれから…」を連載中。
「『ベアテの贈りもの』との出会いとこれからの女性の生き方」と題して講演した落合さんは、「入社試験で、作文は叔父(鶴岡市出身の作家・丸谷才一氏)から手伝ってもらった」などエピソードを披歴しながらソニー時代の上司や国内外で活躍する著名な日本の女性たち、ベアテさんとの出会いなどを紹介。「自分が何をしたいのかをはっきりさせ、ほかの人に説明できるようになる自己表現力が大切。そして、やり始めたら投げ出さず責任を持ってやり遂げること。ベアテは私の生き方のモデルです」と語った。
そして、「日本では要職に就く女性がまだ少ない。ある程度の地位に就くと、入ってくる情報の質が違ってくる。人々の良い面を見いだし、それを組み合わせて力を発揮させることのできるのがリーダー。ぜひリーダーシップを学んでほしい」と参加者にエールを送った。
庄内女性にエールを送った落合さん
2009年(平成21年) 6月14日(日)付紙面より
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2002年1月に閉館した酒田市日吉町一丁目の映画館「酒田港座」が12日、7年余りの時を経て「復活」した。米アカデミー賞外国語映画賞を受けた映画「おくりびと」のロケ地となり大勢の観光客が訪れていることから、盛り上がりを地域の活性化につなげようと、住民有志らで組織する「台町と映画を愉(たの)しむ会」設立発起人会(阿部剛代表)が企画。この日を心待ちにしていたファンは、「ローマの休日」など名作を堪能した。
酒田市史などによると、港座は地元の興行師・長崎新吉が芝居小屋「港座」として造った。建築面積は約630平方メートルで、回り舞台や花道などを備え、歌舞伎も上演することができたという。収容人員は1000人で当時、「東北一の劇場」と称された。建築は、同市の山王クラブや相馬屋などを手掛け、「名工」といわれた佐藤泰太郎(1861―1938年)が当たった。1894年の庄内大地震でも倒壊せず、震災後は一時、裁判所の代用施設としても使用された。
現在の建物は、1953年に火災で焼失した後に再建されたもの。76年に内装工事、翌77年に増築工事が行われ、大中小の3スクリーン態勢になった。その後、映画産業の斜陽化、近隣町への複合型映画館(シネマコンプレックス)進出などにより客足が遠のき、2002年1月14日の上映を最後に閉館した。
「おくりびと」の中では、本木雅弘さんと山崎努さんがビデオ「納棺の手引き」を撮影するシーンで使用。実際に港座に足を運んだ滝田洋二郎監督は「昭和のシネマコンプレックス。このままにしておくのはもったいない」と話したという。さらに同映画で港座内部が映し出されたことで、市民の間で「もう一度、港座で映画を見たい」という声が高まったことを受け先月7日、地元・台町地区の住民有志が中心となり「―愉しむ会」設立発起人会を立ち上げ。これまで映写設備や会場内の点検、チケット販売など復活に向けた準備を進めてきた。
一方、港座の復活に協力している地元・台町地区の飲食店・商店などで組織する「台町日吉振興会」「台町振興会」に加盟する店舗のうち21店では、映画を見に来た人に贈られるサービスチケット持参で、ワンドリンク無料、カラオケ3曲無料、500円割引などのサービスを受けることができる。
「港座復活祭」第1回上映会と銘打った今回は、12、13の両日で「ローマの休日」「ニュー・シネマ・パラダイス」「犬神家の一族」「大怪獣ガメラ」などの計15プログラムを上映。大劇場で初日、オープニングセレモニーが行われ、100人余りの観客を前にした阿部代表が「滝田監督は『映画をきっかけに映画館が復活するなんて映画みたいだね』と言っていた。今後、いろいろとクリアしなくてはいけない課題が多く、皆さんの協力が必要。来月には2回目の上映会も予定している。見に来てください」とあいさつ。近くの若草幼稚園(大滝宗徳園長)の年長児53人が舞台で遊戯を披露し「復活」を祝った。
阿部代表は「多くの人から『ぜひ頑張ってください』というメッセージをいたただいた。スクリーンが3つあるので、子供からお年寄りまでさまざまな世代が楽しめる映画を上映するというスタンスを取りながら今後も上映会を継続していきたい」と話している。入場料は前売りが1000円、当日が1200円(小学生以下は無料)。次回の上映会は7月24、25の両日。上映作品は現在のところ未定。問い合わせは台町と映画を愉しむ会=電0234(22)5890=へ。
大勢の映画ファンが懐かしい名作に見入った=12日