2009年(平成21年) 6月2日(火)付紙面より
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鶴岡市東岩本の不動山本明寺(大坂信快住職)で31日、庄内地区の寺院では珍しい山伏修験の行事「柴灯護摩(さいとうごま)」と「火渡り」が行われた。
庄内では古くから月山、羽黒山、湯殿山の出羽三山で、山岳修験が隆盛。江戸時代まで羽黒山、月山は天台宗系統に、湯殿山は真言宗系統にそれぞれ属していたが、明治期の神仏分離令と修験道廃止令により寺禄を失い、基本的には神社となった。しかし、一部は寺院のまま修験道を受け継いでいる。
湯殿山系真言宗の流れをくむ本明寺には、約320年前の1683(天和3)年に即身仏となった本明海宗和上人が祭られており、12年に一度の丑年御縁年に合わせて即身仏の衣替えを行うのが習わし。衣替えの記念行事として、薪を組み上げて柴(しば)をたき「転禍為福(てんかいふく)」(災い転じて福と為すの意)を祈る柴灯護摩が行われていたが、今回初めて火渡り行事も一緒に行うことになった。
この日の午後2時すぎ、本堂前で大坂住職をはじめ10人の山伏が般若心経を唱えた後、近くの広場で柴灯護摩を行った。地元住民など200人余りの信者が見守る中、おのや弓矢を用いて魔を払う護摩法が繰り広げられた後、柴に火がつけられた。信者たちは身体堅固や諸願成就など願いを込め、火の中にお札を投げ込んだ。
柴が燃え尽きるころ、薪ごと崩して火渡りの準備が行われた。火渡りは「火生三昧(かしょうざんまい)」と呼ばれ、物を焼いて質を変える力を持った火をはだしで渡ることで自己の迷いの心を焼き、すべての物事を最後までやり抜く強い力を得る修験の行という。
まだ炎があちこちに見える炭の上を、山伏たちが渡り、祭壇に一礼。続いて希望する信者が列を作り、手を合わせながら次々と火の上を渡った。中には子供や孫を抱いて火渡りをする女性もおり、「ちょっと熱かった」と笑顔を見せていた。
また、即身仏の古い衣服を小さく切ったものが、お守りとして信者に分けられた。眼病などに御利益があるという。
信者たちが手を合わせて次々と火の上を渡っていった
2009年(平成21年) 6月2日(火)付紙面より
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15年目を迎えた鶴岡市恒例の「朝市」が31日、市役所本庁舎駐車場で今シーズンの営業を始めた。初日から新鮮な農産物や魚介類を求める市民でにぎわった。
生産者と消費者の交流を通じて地元産の農林水産物をPRしようと、「地産地消」を先取りする形で1994年に始まった。この朝市の取り組みが、鶴岡地域での農産物の産直施設展開にもつながった。生産者ら7団体、3個人で組織する鶴岡朝市の会(斎藤幹男会長)が運営する。
曇り空の中で営業開始となったこの日、開店の1時間前の午前5時には行列ができ、直前には100人を超える「朝市ファン」が開店を待った。各店にはホウレン草やレタス、サヤインゲン、トマトなどの野菜、各種漬物、おこわやもちなどの加工品、由良漁港に水揚げされたメバルやハタハタ、タイ、タカバなどの新鮮な海の幸がずらりと並んだ。
初日とあって「今年も始まりました」「また、よろしくの」とあいさつが飛び交い、訪れた市民は生産者との会話を楽しみながら品定め。市価より安く新鮮とあってまとめ買いする人も多く見られた。午前4時半に並んだという同市大部町の60代の男性は「毎回、どんな旬の野菜があるかと楽しみ。見るだけでも楽しいし、見れば買いたくなる。生産者と話もできる。だから朝市はいい」と話していた。
初回はオープン記念で先着200人にシソの苗がプレゼントされた。市役所駐車場の朝市は10月まで毎月第2、4日曜日の午前6時に開店する。
大勢のファンでにぎわった市役所駐車場の朝市