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2010年(平成22年) 6月18日(金)付紙面より

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自然と文化学ぶ 鶴岡致道大学スタート

 鶴岡総合研究所(所長・北村昌美山形大名誉教授)が主催する「鶴岡致道大学」の本年度講座が16日、鶴岡市の東北公益文科大大学院ホールでスタートした。第一講では、地元で絹産業にかかわる2人が、その継承や発展について語った。

 旧庄内藩校致道館の教育精神である「個性、自発性の尊重、自学自修」を引き継ぐ生涯学習の場として1997年度から開講。本年度は「自然が育(はぐく)むふるさとの文化」を全体テーマに、11月まで計6回開く。112人が受講する。

 この日は開講式に続き、「鶴岡シルクロードの旅」をテーマに、農家レストラン知憩軒を主宰し、綴(つづ)れ織りにも取り組む長南光さんと、東福産業社長で鶴岡織物工業協同組合「kibisoプロジェクト」プロジェクトリーダーの大和匡輔さんの2人が、山形大農学部教授の平智さんのコーディネートでそれぞれの活動や持論を語った。

 長南さんは、鶴岡出身の綴れ織作家、遠藤虚籟が、世界の平和や亡くなったものへの供養の思いを込め創作した業績を紹介。その上で、鶴岡が絹織物作りの全工程(養蚕、製糸、織り、精練、染色など)が残る全国唯一の場所であることから、これら一連の工程をつなぎ、体験しながら歴史を学ぶ「鶴岡シルクロード」の構築を呼び掛けた。そして、「絹を生活の中に取り入れ、心豊かに暮らしてほしい。若い人に、その歴史を引き継いでもらいたい」と語った。

 大和さんは、鶴岡工業高が染色、旧鶴岡家政高が縫製の各技術習得をルーツとしているなど、鶴岡の歴史が絹織物産業と深くかかわっていることを紹介した。捨てられてきたキビソ(カイコが最初にはき出す糸)の製品を開発し、徐々に人気が高まっている最近の取り組みを挙げ、「鶴岡は絹製品の産地としては最も後発。ほかでは歴史が邪魔をしてできなかったこともできる。鶴岡に全工程が残っていることを、新しいことをやる土台にして世界に発信したい」と述べた。

 平さんは「歴史を継承していくのも、新しいことを創造していくのも、両輪あってこその鶴岡。滞在しながら体験でき、食べ物もある新しいツーリズムとして『鶴岡シルクロードの旅』があってもいい」とまとめた。

鶴岡の絹産業について話を聞いた第一講
鶴岡の絹産業について話を聞いた第一講


2010年(平成22年) 6月18日(金)付紙面より

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「飼育」 「業務」水族館学ぶ 加茂水産高 カリキュラム初導入

 鶴岡市の加茂水産高校(三浦幸雄校長)の生徒たちが17日、同校近くの今泉漁港に水揚げされたスルメイカを市立加茂水族館へ運び、イカの飼育方法や水族館業務などについて学んだ。

 同校は本年度、加茂水族館の協力を得て、独特のカリキュラム「水族館学概論」を初めて導入した。水族館と連携しながら生物採集や飼育生物への餌やりなどの実習と同館見学などを通じ、水生生物の飼育の基礎的知識と技術を学ぶ。

 スルメイカの運搬は水族館学概論の一環として、今月4日から3回にわたり行われた。活魚輸送が難しいスルメイカを生徒たちが自らの手で運び、水槽で泳ぐ様子を観察しながら生態について理解を深めるもの。

 運搬3回目のこの日は、海洋環境科マリンスポーツ系の3年11人が参加した。佐渡沖などでスルメイカを釣り上げ、加茂沖約1キロで待機中の同校の実習船「鳥海丸」へ向けて、今泉漁港から教員、生徒計5人と輸送用タンクを乗せた同校の小型船「あらなみ」が出発。海上で20―30センチのスルメイカ13匹を受け取った。

 「あらなみ」が今泉漁港へ戻ると、待ち構えた生徒たちがスルメイカにダメージを与えないように大型のバケツへそっと移し、約200メートル離れた水族館に徒歩で運んだ。水槽のバックヤードから、水温にならしながら時間を掛けて慎重に放し、作業後は元気に泳ぐイカをじっくりと見学した。

 水族館の奥泉和也副館長は「少しでも長生きするように水温を11度まで下げて飼育しているが、壁にぶつかるなどでイカは弱りやすい。展示期間は1週間ほどになるのでは」と話していた。

水揚げされたスルメイカを今泉漁港で受け取り、運搬用のバケツにそっと移した
水揚げされたスルメイカを今泉漁港で受け取り、運搬用のバケツにそっと移した



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