2010年(平成22年) 6月19日(土)付紙面より
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「果樹王国」として知られる鶴岡市櫛引地域で、サクランボなど果物をもぎ取りできる果樹園を紹介する「観光果樹園紹介所」が18日、同市西荒屋の産直あぐり内に開設された。観光客の人数などに応じて地域内の果樹園を紹介、サービス向上によって利用増につなげていく。
櫛引地域では西片屋地区のサクランボを中心に観光果樹園が盛んだが、農園が点在しているため、利用者から「場所が分かりにくい」といった声が挙がっていた。
今回は、そうした声を受け、市の調査事業の一環で今月7日に地域内の果樹園組織や観光関連団体などで結成した櫛引地域産業振興プロジェクト推進協議会(会長・山口朗市櫛引支所長)が、サクランボのシーズンに合わせて開設した。同地域内の観光果樹園を一元的に紹介する試みは初めて。
紹介所は、同推進協議会が産直あぐり(澤川宏一社長)に委託する形で開設。観光客から問い合わせがあった場合、従業員が、登録した果樹園17園の中から紹介する。園間で不公平にならないよう順番を決め、観光客の人数や園側の受け入れ態勢などを確認した上で紹介する。各園では、案内された観光客1人につき50円の負担金を推進協議会に支払うシステム。
推進協議会では開設に合わせ、各果樹園の利用者にアンケートし、同システムの満足度や利用者の在住地域などを調査、システムの充実を図る。また、観光果樹園をPRするチラシ(A4判)を2000枚作製し、同市の湯野浜、湯田川、由良、あつみ温泉の各旅館などに配布し、PRしている。もぎ取りを組み込んだ観光ツアーの開発も旅行代理店に働き掛けている。
市櫛引庁舎によると、昨年の同地域内の観光果樹園の利用者は約1万3700人。「受け入れ能力はもっとある。効果的なPRや受け入れの方法を探り、利用増につなげていきたい」としている。
もぎ取りは、サクランボはすでに始まり7月上旬まで、その後、ブドウが8月上旬―10月下旬、ナシが8月下旬―10月初旬、リンゴが9月上旬―12月上旬と続く。
櫛引地域観光果樹園紹介所は電0235(57)3677。
2010年(平成22年) 6月19日(土)付紙面より
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今秋に本格デビューする県産水稲新品種「つや姫」が、中国に輸出されることになった。経済交流のため、14―16日の日程で中国・黒龍江省ハルビン市を訪れた東方水上シルクロード貿易促進協議会の訪中団(団長・新田嘉一平田牧場会長)が、現地の企業との間でつや姫5トンの輸出協定を結んだ。県によると、つや姫の中国輸出は初のケースで、新田会長は「中国の富裕層向けに、本格的につや姫を売り込む土台ができた」と話している。
つや姫の輸出協定は15日に、高橋節副知事らの立ち会いで、同市にある黒龍江省の迎賓館施設で行われ、同協議会の新田会長、JA鶴岡の今野毅組合長、同省最大の不動産建設管理企業で大型スーパーなども展開しているハルビン電地産置業有限公司の桑洪会長の3者が調印した。JA鶴岡産のつや姫は、全農山形を通じて輸出され、中国国内で販売される。
同協議会を通じた庄内産の米の中国輸出は2008年から継続され、3年目となる。新田会長は「日本の他県からも中国に米を輸出する動きがあるが、多くは1回限り。3年間継続するのは異例なこと」とした上で、「協議会がこれまで築いてきた中国側との信頼関係の深さによるもの。別の県からも協議会を通じて米を売ってほしいとの強い依頼もある」と話す。
つや姫の食味は中国でも高い評価を得た。新田会長は「北京や上海の富裕層から、庄内の最高の米を購入してもらうきっかけになる。中国の流通業界トップらの大型経済視察団が、この8月にも庄内に来ることが固まった」と、今回の訪中の成果を語った。同協議会は、県産のリンゴとナシについても、中国国内での貿易条件が整った時点で当初5万トンを輸出する契約なども締結した。
県によると、先行販売のつや姫が台湾に試食用として一部輸出されたケースはあるものの、まとまった量が海外輸出されるのは初めてという。県は中国、台湾、香港で、つや姫の商標登録手続きを進めている。
JA鶴岡の今野組合長は「これまでに輸出された『はえぬき』も、とてもおいしいとの評価だったが、つや姫については、さらにおいしいと評価された。現地では高価な米になるだろうが、うまい米を求める富裕層も多い。販売実績が挙がることを、大いに期待している」と話した。