2010年(平成22年) 6月23日(水)付紙面より
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庄内浜文化伝道師を対象にしたレベルアップ講座が21日、酒田市総合文化センターで開かれ、鵜渡幸(同市あきほ町)の須田剛史総料理長が、庄内沖で捕れる低利用魚「カスベ」の調理法を紹介した。
伝道師を認定する県庄内総合支庁が年4回開催している講座。本年度第1講となった今回は、見た目が悪くこれまで敬遠されることが多かったカスべのおいしさや調理法を学んでもらい、消費拡大につなげようと、主としてスーパーに勤務している伝道師に呼び掛けたところ、約20人が参加した。
須田総料理長によると、鵜渡幸ではカスベの刺し身などを提供しており、来店客からは好評を得ているという。
この日は刺し身とともに、煮付け、骨せんべいの調理方法を紹介。須田総料理長から「刺し身にする場合、独特の臭みを取るために塩を振って」「圧力鍋を使用して煮付けると、軟骨まで食べられるようになる」などと指導を受けた伝道師は5つの班に分かれ、実際に調理した。
試食で、参加者は「刺し身にすると、『カスベだ』と言われるまで分からない。おいしい」などと感想を話していた。須田総料理長は「ほかにもおいしい魚がたくさんあるということを広く伝えてほしい」と話していた。
2010年(平成22年) 6月23日(水)付紙面より
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新たに開発したキビソを旗印に「鶴岡シルク」のブランド化戦略を進める鶴岡織物工業協同組合(田中尹理事長)は22日、鶴岡の伝統産業でもある絹織物生産の出発点となった鶴岡市羽黒町の松ケ岡開墾場内に、キビソを使った製品を展示、販売するアンテナショップを開設した。同組合初の常設ショップで、組合は「キビソが持つ独特の風合いに直接触れてもらえるショップをようやく開設できた。キビソを通して地元や県内外の人々から鶴岡シルクに理解を深めてもらえれば」と話している。
アンテナショップは、松ケ岡開墾場にある「待カフェ」のアートスペースに開設した。広さ約20平方メートルで、同組合と「キビソ・プロジェクト」を進める世界的なテキスタイルデザイナーの須藤玲子さんがデザインしたストールやバッグ、「kibiso」のロゴマークを担当したアートディレクターの佐野研二郎さんデザインのネクタイやハンカチ、ブックカバー、バッグなど百数十点が並ぶ。販売価格帯は1000円台から1万5000円前後。
米国のセントルイス美術館と、スミソニアン博物館系列の美術館にそれぞれ永久保存されたものと同じ、キビソの布地も展示したほか、蚕が繭(まゆ)をつくるときに最初にはき出す糸・キビソの原糸も展示するなどし、同組合の取り組みも紹介している。
同組合は3年前にキビソ・プロジェクトをスタート。経済産業省の支援を受けるなどして、機械で織れる糸の開発と製品化を進めた。これまで、東京や京都などで展示会を開いており、販路開拓が次なるステップとなっていた。組合には、キビソの評判を聞いた県外の人たちから「どこで売っているのか」といった問い合わせも多く寄せられていた。
松ケ岡開墾場にアンテナショップを開設した意義について、同組合理事でキビソ・プロジェクト・リーダーの大和匡輔・東福産業社長は「松ケ岡は鶴岡の絹織物の原点。先人たちが残した貴重な遺産でもあるこの場所にショップを開くことで、組合としてもう一度、鶴岡シルクのものづくりの原点に立ち返りたい」と説明。「地元の人だけでなく、県内外から訪れる人々から、松ケ岡の歴史とともに、新しい時代のキビソと鶴岡シルクに触れてもらいたい」と話した。
ショップをテナントとして受け入れた、待カフェを運営する松岡物産の酒井忠順社長は「松ケ岡開墾場に新たな魅力が加わった。大蚕室に展示している鶴岡の絹文化を伝える史料とともに、キビソのストーリー性を伝えていきたい」と話している。