2010年(平成22年) 6月8日(火)付紙面より
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羽州庄内松山城薪能が5日夜、酒田市の松山歴史公園特設舞台で上演された。かがり火が醸し出す幻想的な雰囲気の中、能、狂言が演じられ、市内外から訪れた能楽ファンの目を楽しませた。
松山能(県指定無形民俗文化財)は、江戸勤番の松山藩士が観世流の能楽を習得して持ち帰ったのが起源とされ、約340年の歴史がある。明治維新以後は、地元・松山地区の演能団体「松諷社(しょうふうしゃ)」が受け継いでいる。薪能は松山能振興会(澁谷賢一会長)や松諷社、旧松山町の観光協会、商工会などが歴史公園の竣工を記念し1982年から開いている。
29回目となった今年は、約300人の能楽ファンが訪れ、子供狂言「六地蔵」で幕開けした。日がとっぷりと暮れた午後7時半ごろ、薪に火をともす「火入れの儀」が行われると、辺りは趣ある雰囲気に。引き続き、狂言「棒しばり」、能「土蜘蛛(つちぐも)」が演じられた。
時折揺らめくかがり火が役者らを照らし出す中、訪れた能楽ファンは古くから伝わる松山能の持つ独特の間合いを楽しんでいた。
2010年(平成22年) 6月8日(火)付紙面より
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酒田市飛島出身者を中心とする中型イカ釣り船団「山形船団船友漁労長会」(本間健船団長)の出航式が5日、酒田港袖岡埠頭(ふとう)で行われ、イカ釣り漁船が大勢の市民らに見送られ、半年余りの漁に出発した。
本県、北海道、石川県各船籍の160―180トン級の中型船団で漁獲量は全国トップクラス。6月初旬から翌年2月にかけ最初は庄内沖や能登半島沖、その後は日本海中部の漁場・大和堆(たい)、9月以降はロシア海域や太平洋で、スルメイカ(真イカ)を追う。
イカ釣り漁を取り巻く状況は現在、▽乗組員の高齢化と後継者不足▽地球温暖化に伴う魚場の不安定▽魚価の低迷と原油などコスト高―などで厳しさが増しているという。そんな中、同船団には今シーズン、9隻が加盟。インドネシアからの漁業研修生12人を含む計約80人が乗り組んでいる。
出航式は、市と県漁業協同組合(五十嵐安哉組合長)の主催。乗組員とともに、見送りの市民らが大勢参加した。阿部寿一市長、五十嵐組合長のあいさつなどに続き、本間船団長が「イカの消費量が減少している。これまで長年にわたって魚介類のうち消費量がナンバーワンだったが、サーモンに抜かれた。イカほど食べ方が豊富な魚介類はない。皆さんからイカをたくさん食べてもらうことで価格が安定する。再びイカをナンバーワンにしてほしい」と呼び掛けた上で、「航海の安全を約束する。一致団結し行ってきます」と決意表明した。
正午すぎ、汽笛を鳴らしながら出航。市民らは、船と結んだ五色のテープを手にし、「頑張ってこいよ」「いってらっしゃい」と声を掛けていた。