2011年(平成23年) 7月1日(金)付紙面より
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全国の小中学校・高校などを対象にしたパナソニック教育財団(東京都港区、理事長・遠山敦子元文部科学大臣)の第37回(2011年度)実践研究助成で、酒田市の飛鳥中学校(渡部俊明校長、生徒163人)が特別研究指定校に選ばれた。全国で6校、中学校では同校だけで、各自の評価シートを生徒に自由に閲覧させることで学習意欲を高め、学習計画の充実などを図る「学習評価システム」の構築と授業改善に取り組んでいることが高く評価された。
この助成制度は、ITC(視聴覚・情報通信メディア)を効果的に活用し、初等中等教育の課題改善に取り組む実践的な研究計画が対象。研究期間が単年度の一般、2年間の特別研究指定校があり、毎年計約70件に助成している。飛鳥中は昨年度まで2年連続で一般の部で助成先に選ばれた。
今回は一般310件、特別20件の計330件の応募があり、審査の結果、一般で小学校41件、中学校11件、高校10件、特別支援教育諸学校5件、教育研究所・教育センター4件、特別では小学校4件、中学校・高校各1件の研究が採択された。
飛鳥中は、前の2年間の研究課題をさらに掘り下げ、自らが学習状況をとらえて深化・改善のために努力しようという生徒の育成を目指す「学習意欲を引き出す評価システムの構築と授業改善」を研究テーマに応募。
システムは、自分で立てた学習計画を自主的に行える力をつける「ブラッシュアップ(磨き上げ)タイム・ノート」、単元の達成度を見取り学び直しで支援する「フェニックス(不死鳥)タイム」、学習が進まない生徒を全職員で支援する「プライベートティーチャー」、職員と生徒が一緒にパソコンを開いて各自の評価シートを確認しながら頑張り方などを指導・助言する「ガイダンスタイム」が大きな柱で、評価シートへの入力などにコンピューターを活用。生徒は自分のID番号を打ち込むことで、その内容を自由に見ることができる。
また授業では、教師による一方的な一斉授業から、生徒が活動できる場面をできるだけ多く設け、生徒の良さをとらえ、伝え、広げるような改善に取り組んでいる。
こうして学習評価システムの構築にITCを活用し、定期的に評価したものを生徒に閲覧させ、学習意欲を高め、学習計画を充実させている点が高く評価された。
助成金は2年間で150万円。同校ではパソコンなどITC機器の購入やシステムの改善、教職員の研修、来年11―12月に予定する発表会の費用などに充てる考え。
渡部校長は「子供たち、教職員らが、学習を前向きにとらえていこうと一生懸命に頑張っている。その気持ち、姿勢が素晴らしい」とし、「(その基礎をつくった)前任の梅木仁(現琢成小)校長が定めた方向から、ずれないように取り組んでいきたい」と話している。