2011年(平成23年) 11月16日(水)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館(村上龍男館長)で、ミクロネシア地域の島々から成るパラオ共和国で捕獲された「サカサクラゲ」と「タコクラゲ」が展示されている。
パラオは日本から約3000キロ南方の太平洋上にある国で、大小約200の島々で構成されている。今月2―8日、同館の奥泉和也副館長が山形大理学部パラオリサーチに同行し、7日にオンゲール島の海水湖でサカサクラゲとタコクラゲ合わせて約30個体を採集した。
パラオに約80ある海水湖は、約1万年前の氷河期の終わりに起こった海面上昇で、島のくぼみに海水が入り込み形成されたと考えられている。外海から地理的に隔離された湖の中で、種類は少ないが海産の動植物が成育し独自の生態系をつくっている。
今回、クラゲ展示室「クラネタリウム」のパラオコーナーの一角にサカサクラゲ4個体、タコクラゲ10個体ほどを展示した。このうちタコクラゲは体から伸びている棒状の口腕付属器が8本あり、まるでタコの足のように見えることから、この名前が付いたという。傘には白い斑点があり、今秋のファッションで女性に人気のドット柄にも見える。
来場者たちは「どこか神秘的」「かわいらしいね」と話しながら、水槽内をふわふわと漂うタコクラゲに見入っていた。奥泉副館長は「クラゲたちを見て、人知れずパラオの湖で漂う姿や雄大な自然に思いをはせてもらえれば」と話していた。飼育状態が良ければ年内いっぱいは展示するという。
2011年(平成23年) 11月16日(水)付紙面より
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出羽三山神社の「松の勧進」が15日、お膝元の鶴岡市羽黒町手向地区で始まった。山伏たちの吹き鳴らすほら貝の音が山里に響き、初冬の訪れを告げた。
松の勧進は、大みそかから元旦にかけて羽黒山頂で行われる出羽三山神社最大の祭事「松例祭」の浄財を集める行事。100日間の修行を積み祭りで主役を務める山伏の松聖(まつひじり)2人が、小聖(こひじり)の山伏を従えて家々を回り、無病息災や家内安全のお札を配る。
今年の松聖は、「位上(いじょう)」が成田雄男さん(65)=手向、山伏名・雄真=、「先途(せんど)が勝木正人さん(63)=同、正展=の2人。9月24日から100日修行に入り、今月13日まで前半の50日間は精進料理を食べ、朝夕に勤行を行うなど「別火」精進を続けた。現在は羽黒山中の斎館にこもり、後半50日間の修行を積んでいる。
この日は時折冷たい雨が降る寒い天気となり、午前8時半すぎ、小聖8人を従えた一行が同神社社務所を出発。小聖たちが吹くほら貝の音だけが静かな宿坊街に響き渡る中、松聖たちは地区内の末社を、小聖たちは早速商店や家々を回り、“師走”の訪れが近いことを告げた。
松の勧進は1週間ほどかけて羽黒地域を巡る。来月1日からは旧鶴岡市内などを回り、庄内全域で12月いっぱい続けられる。