2011年(平成23年) 11月30日(水)付紙面より
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鶴岡市の五十川小学校(越中聡校長、児童24人)の全校児童が28日、地元の川で捕れたサケの採卵や授精作業に取り組んだ。
同校では総合学習の一環で命の大切さを学んでもらおうと、1990年から毎年、地元の山戸漁協(本間義一郎組合長)の協力でサケの採卵、授精、飼育、放流までの一連の活動を行っている。
この日は本間組合長を講師に迎え、同校敷地内のサケ小屋近くで作業。はじめに本間組合長が「今年は水温がまだ高く、サケの遡上(そじょう)が遅れているようだ。サケは死んでから20分から30分までに授精させないとうまくいかない。そのため、授精作業は時間との勝負になる」などと説明。続いて、採卵作業が行われ、五十川に遡上してきた体長約60センチの雌のサケ4匹から約1万個の卵を採取。代表児童3人が専用台にサケを載せ、腹を採卵刀で切ると、鮮やかな朱色の卵が飛び出し、作業を見守っていた児童たちからは「いっぱい出てきた。すごい」などと歓声が上がった。その後、取り出した卵に雄の精子をかけて授精させ、サケ小屋の水槽に保管した。
作業した5年生の斎藤大暉君(10)は「サケの腹の中を触るとドク、ドクと動く感触があった。命を扱っていることを実感できて、これから大事に育てていかなくてはと思った」と話していた。
今回、授精させたサケの卵は来年1月中旬ごろにふ化する予定。ふ化した稚魚は児童たちが縦割り班ごとに交代で餌やりや水管理などの飼育を行い、来年3月下旬ごろに学校近くの五十川に放流する。