2011年(平成23年) 3月5日(土)付紙面より
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出羽商工会(小野木覺会長)農業部会のアグリビジネス研修会が2、3の1泊2日にわたり、首都圏の農業関連施設やイベント会場を巡るコースで行われた。部会員ら約20人が、農業の6次産業化で年商40億円を達成した千葉県香取市の農事組合法人「和郷園」などを視察し、庄内での農商工連携の推進について考えた。
農業部会は、農業者の会員が増えてきたことなどを踏まえ、昨年7月に設置。以来、月1回のペースで会合を開き、農商工連携の具体的な事業展開の可能性を探っている。
研修会には、部会員と商工会職員ら23人が参加。2日は「和郷園」、3日は千葉市の幕張メッセで開催中の国際食品展「FOODEX JAPAN2011」、食品の細胞を壊さない新たな冷凍技術の「アビー」(千葉県流山市)などを視察した。
このうちメーンの「和郷園」は1991年、木内博一代表ら若手農業者5人が野菜の産直を手掛けたのが始まり。現在は農業者約90戸が会員となり、土壌分析から行う独自の生産管理で高品質の農産物を生産。関連会社「和郷」が冷凍加工センターやカットセンターで加工を行い、スーパーなどに販売。そのほか、直売所やレストランを持つ私設道の駅「風土村」、都内へのアンテナショップ、貸し農園と宿泊施設のテーマパーク、タイでのバナナ生産、カット野菜のくずなどから堆肥(たいひ)や燃料を生産するリサイクルセンターなど、多角的に展開。グループ全体でパートを含め約400人を雇用、年商約40億円を達成した。
出羽商工会の研修では本部や冷凍加工センター、リサイクルセンターを視察するとともに、道の駅のレストランでバイキング形式の昼食を食べた。
ともに農家出身の小野木会長(大商会長)は「これからの農業展開の一つの理想的な姿があると感じた。生産者を買いたたかずに守る発想が根底にある。これを参考に、地元の特色を生かした事業を部会主導で展開したい」、上野隆一・農業部会座長(ウエノ社長)は「個々のものは地元でもあるが、全体を農業者が作り上げていく構想力やリーダーシップがすごい。都会から離れているデメリットを嘆くのでなく、観光資源などメリットを生かせば、庄内ならではの展開も可能」とそれぞれ感想を語った。
2011年(平成23年) 3月5日(土)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館(村上龍男館長)のクラゲの映像が、今月10日から世界に向けて発信されることになった。映像制作・ICT(情報通信技術)のエス・フィールド(本社・東京、齋藤有三社長)が4日、携帯電話「iPhoneアプリ」による世界同時公開を発表した。同水族館が飼育するクラゲの動画と写真をパッケージにしたアプリで、監修した村上館長は「加茂水族館を救ってくれたクラゲのきれいな映像を世界中の人たちから見てもらえる」と喜んでいる。
鶴岡市出身で同市の「鶴岡ふるさと観光大使」の委嘱を受けている齋藤社長が、同水族館のクラゲを見て「驚き、感動し、感激した」のがきっかけ。テレビ番組制作などを手掛ける専門分野の映像表現力とICТを駆使して、実現した。
配信されるのは、「癒(いや)しのクラネタリウム」のタイトルで、ハイビジョン撮影した動画と静止画。華やかさに人気があるハナガサクラゲをはじめ、アカクラゲ、ミズクラゲなど8種類のクラゲを収録し、それぞれのクラゲの泳ぐ姿の動画(各30秒)と関連する40枚の静止画、各クラゲの生態などの解説、加茂水族館に関する情報をパッケージにした。動画には音を付けず、個人が好みの音楽を別機能で選んでバックグラウンドとして付け、自分なりのスライドショーを楽しめるようにしている。
対応原語は日本語に加えて英語も採用し、「展示種類数世界最多」を誇る加茂水族館の魅力を世界中に公開する。同社は昨年9月から、同水族館に展示されているクラゲや併設されている研究所内のクラゲを撮影してきた。
ダウンロードは230円(税込み)。10万ダウンロードを目標としており、収益の一部はクラゲの研究費として同水族館に寄付する。同社は、継続してクラゲの撮影を行い、配信するクラゲの種類を随時追加していく。さらに、今年のゴールデンウイークをめどに、長めの動画を収めたDVDの制作、6月ごろにはiPad対応アプリの配信も予定する。
加茂水族館のクラゲの世界公開に、監修した村上館長は「水族館がクラゲと出合って救われて以来、いつもクラゲに感謝し、その魅力を世界に伝えることがクラゲへの恩返しと思ってきた。クラネタリウムのリニューアル、水族館のクラゲの世界公開と話題が続き、新しい水族館建設に向けて弾みがつく。DVDを水族館で販売できれば、来館者にとってはいい記念になる」と話す。
「郷里のために、何か役に立ちたかった」と語る齋藤社長。「加茂水族館には、クラゲのスターたちがたくさんいる。今回のコンテンツをスタートに、かわいらしくもたくましい複雑でユニークな世界観を持ち、疲れた心身を癒やしてくれる水族館のクラゲたちとともに、鶴岡、庄内の良さを世界に伝えていきたい」と話している。