2011年(平成23年) 4月15日(金)付紙面より
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鶴岡信用金庫(加藤捷男理事長)の新人職員を対象にした課外研修が14日、鶴岡市の旧庄内藩校「致道館」(国指定史跡)で開かれた。新人職員たちが論語の素読などを通し、約200年前から庄内に伝わる「自学自習」や「個性伸長」といった藩校教育を学んだ。
同信金は、地域密着型の金融機関として地元の観光振興と情報発信に貢献しようと、昨年初めて若手職員を対象に致道館で藩校教育を学ぶ研修会を実施。昨秋の埼玉縣信金や、今年2―3月の飯能信金の大型ツアーで若手職員がサポートや観光ガイド役を務めた。
本年度は、4月1日から行っている新人職員の研修の一環として実施。入庫したばかりの職員8人が参加した。市教委文化財保護指導員の富樫恒文さんが講師となり、庄内藩9代藩主の酒井忠徳が乱れた士風の刷新を目的に致道館を建てた経緯を説明。また、「当時幕府が奨励した朱子学ではなく、荻生徂徠が唱えた徂徠学を学ばせ、自学自習の大切さや生まれつきの才能、個性を伸ばす教育を重視した」と教育方針について解説した。
その後、建物最奥の「御居間」で論語の冒頭部分「子曰く、学びて而して時に之を習う―」を素読。富樫さんが現代語訳を解説し、「君子、つまり学問を志す徳と教養を持つ人のあるべき姿を説いている」と話した。
研修を受けた板垣慶さん(22)は「200年も前に鶴岡で自学自習という現代にも通じる教育が行われていたことに驚いた。今日学んだことを今後の仕事に生かしたい」と話していた。
続いて一行は市立藤沢周平記念館に移動し、鶴岡市と藤沢周平のかかわりなどを学んだ。
2011年(平成23年) 4月15日(金)付紙面より
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放射線基礎知識の学習会が13日、酒田市の庄内バイオ研修センターで開かれ、同センター所長で東京大名誉教授の山口彦之さんが「放射線と放射性物質の初歩的知識」と題して講演した。
東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所(福島県双葉郡)の事故で関心が高まっているヨウ素131やセシウム137といった放射性物質が、人体や農作物などに与える影響を正しく理解し、共通認識の下で的確な対応を図ろうと、放射線生物学の世界的権威である山口所長を講師に招き、市が開いた。
山口所長は、ベータ線やガンマ線など「放射線」を放出する能力がある性質が「放射能」で、その性質を持つ物質が「放射性物質」とし、電球を放射性物質に、光を放射線に例えて解説した。
また、ベクレルは放射線を出す能力の強さ、グレイは人体など物に吸収される放射線のエネルギー、シーベルトは放射線が人体に与える影響の程度を、それぞれ表す単位と説明。例えばガンマ線を一時的に被ばくした場合、250ミリシーベルト以下では症状がほとんど現れず、500ミリでは白血球数が一時的に減少し回復するが、4シーベルトでは被ばく後30日以内に半数が、7シーベルトではほぼ全員が死亡するとした。
一方で、被ばくした人から子孫に伝わる放射線の影響が、人間では確認されていないことを強調。チェルノブイリ原発事故で被ばくしたベラルーシの子供やアメリカの原子力船修理工、イギリスの放射線科医ら少ない量の放射線を長期間にわたって被ばくしている人と、がんで死亡する人との相関関係も認められないと話した。
学習会参加者との質疑応答で、食品衛生法に基づく放射性物質の規制値は国際放射線防護委員会の勧告に従ったもので、規制値以下であれば健康に問題ないことを明言。原発事故によって野菜から検出された放射性物質は表面に付着しており、「水で洗えば落ちるものではないか」との認識を示した。さらに、重金属のような食物連鎖による放射性物質の蓄積に関しては、チェルノブイリ事故後の調査結果から「ロシアでは心配されるような影響は出ていない」と述べた。
同市、県、農協の職員ら約60人が聴講した。