2011年(平成23年) 6月24日(金)付紙面より
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庄内浜の伝統料理の作り方をビデオ映像に収録し、インターネットを通じて配信、魚食文化の振興につなげようという取り組みが行われている。その収録作業が23日、鶴岡市の加茂コミュニティセンターで行われ、県漁協女性部加茂支部(佐藤伊代子支部長)の女性たちがイナダの煮付けや刺し身などを作った。
「ままざめ講座」と題したこの取り組みは、庄内地方でIT(情報技術)を活用した地域活動の支援などを行っているNPO法人「イーコム」(本部・鶴岡市、加藤清輝代表理事)が、県の委託を受け5月から取り組んでいる。魚離れが言われる中、インターネットを使い、魚食文化の振興と魚介類の需要拡大を図り、漁業振興につなげる狙い。
計画では年度内に、県漁協女性部の8支部ごとに、各地区に伝わる魚介類の料理を作ってもらい、収録。イーコムが同様の趣旨で県の委託を受け、今年3月に開設したホームページで配信していく。先月28日には鶴岡市の由良支部で初回の収録が行われ、サクラマスのあんかけなどを作った。
この日は2回目で、加茂支部の10人がイナダの煮付け、刺し身、アオサのかす汁の3品を調理。イーコムの五十嵐忠義さんらが、魚をさばくところやアオサを丁寧に水洗いするなど下準備の段階からビデオに収録した。
映像は編集作業を経て数日後にも、初回分と合わせ公開する。
加茂支部の佐藤支部長は「インターネットの映像を見て、あまり魚を食べない若い人たちが作ってみようかという気になって、魚をたくさん食べてもらえたらうれしい」と期待を寄せる。
イーコムの五十嵐さんは「本など文字情報のレシピもあるが、若い人にはパソコンの方が取っつきやすい。県外に出た地元出身者に懐かしんでもらったり、記録として残す意味もある」とビデオによる収録・発信の意義を説明する。3回目の収録は来月5日、酒田支部で行う予定。
「ままざめ講座」の映像を配信するイーコムのホームページ「庄内浜文化情報館」のアドレスはhttp://www.shonai-hama.net。リンクする姉妹サイト「庄内浜産直館」では、ホタルイカの姿干しなど庄内浜産の魚介類を使った地元業者の加工品などを通信販売している。
2011年(平成23年) 6月24日(金)付紙面より
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酒田市と庄内町の建設業者など5社で設立した「酒田FRC有限責任事業組合」は23日、同市役所で会見し、酒田共同火力発電(同市宮海、鈴木信次社長)から出る石炭灰にセメントと水を混ぜて再生砕石「FRC(フライアッシュ・リサイクル・コンクリート)」を製造し、土木工事用の骨材として来年1月をめどに販売開始すると発表した。酒田共火そばの旧住軽アルミ跡地に来月、製造プラントを着工。当面は年間3万7000立方メートルのFRC生産を目指す。
同組合によると、庄内地区では主に道路下層の路盤材として年間約16万立方メートルの再生砕石需要がある。しかし供給は約9万立方メートルにとどまっており、不足分を天然砕石などで補っている。
そのため、酒田共火から出る年間15万トンの石炭灰を再利用し、灰の9割を占める細かい粉状のフライアッシュを主原料に、セメントと水を特殊機械で混合、練った後、超振動型の成型機に入れてブロック製品化。養生後、それを破砕し骨材として使用することで、▽石炭灰のリサイクル▽天然砕石の使用減による自然環境保全▽事業化による新たな雇用創出―を図ろうと今年4月、同組合を設立した。
酒田共火によると、ほかに砂利などを用いずに石炭灰とセメントだけを原料にした再生砕石の製造事業化は東北で初。
この日は、同組合の職務執行者に就いた酒井鈴木工業(同市大浜一丁目)の齋藤茂社長らが会見。事業化の目的や経緯などを説明した。
それによると、住友金属から借りる約7900平方メートルの敷地に、5億5000万円を投下して製造プラント、製品のストックヤードなどを整備。年間約4万トンの石炭灰を使い約3万700立方メートルのFRCを製造して同組合員以外にも販売する。価格は標準的な再生砕石と同じ1立方メートル当たり1900円(配達料込み)を見込む。このプラントでは年間5万5000立方メートルまでの生産が可能。
製品は軽量で品質的にばらつきが少なく、国土交通省の再生砕石活用基準はもとより、環境影響面でも環境省の基準をクリア。安心して利用できるという。会見で齋藤社長は「石炭灰を再生利用することで、社会や地域に貢献することを主眼に事業を進める」と話した。
ほかの組合員は安藤組(庄内町提興屋、安藤政則社長)、酒田カイハツ生コンクリート(酒田市松美町、鈴木東治社長)、大場建設(同市穂積、大場弥市社長)、エルデック(同市松美町、富樫邦男社長)。2008年4月から勉強会を発足させ、原料を最適な状態で混ぜ合わせるミキシング機械の開発など、事業化に向けて研究を重ねていた。