2012年(平成24年) 5月25日(金)付紙面より
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鶴岡市藤島庁舎入り口に鎮座する“鶴岡のハチ公像”が、来月24日からJR鶴岡駅構内に公開展示されることになった。当日は蒸気機関車のC57がけん引する快速列車「SLうまさぎっしり庄内号」が運行され、同駅に停車するイベントもあり、鶴岡のハチ公像が大勢の乗客の目に触れる。
「鶴岡のハチ公像」は石こう像で、東京都渋谷区にある『忠犬ハチ公像』作者の安藤士さん(東京都在住)が、2代目(初代は戦時中の金属回収で撤去)となる現在のハチ公像の試作品として1947年に制作。その後、旧藤島町出身の会社役員から鶴岡市湯野浜の旅館、旧藤島町の建設会社会長の手に渡り、最終的に旧藤島町に寄贈された。
近年になって鶴岡市藤島の薬剤師、高宮宏さん(66)が試作品であることを突き止めた。これをきっかけに、「鶴岡のハチ公像」が鶴岡にたどり着いた経緯を広く知ってもらい、同時に動物愛護の心を育んでもらおうと、2006年に市民有志とともに鶴岡ハチ公保存会を設立した。
同会は「もっと多くの人に『鶴岡のハチ公像』の存在を知ってもらいたい」と公開展示を模索していたところ、JR鶴岡駅の有坂秀仁駅長が「鶴岡駅に展示させてもらえないか」と提案し、同会も快諾した。
ハチ公像は、同駅構内のみどりの窓口と自動券販売機の間にあるスペースに展示される。展示期間は来月24日から来年2月15日までの約8カ月。その後、ひな人形展示のためハチ公像の展示をいったん休止するが、4月15日から再び展示する。以後、毎年4月15日から翌年の2月15日まで駅構内に展示する。
保存会会長の高宮さんは「設立以来の悲願だった公開展示がようやく実現する。ハチ公を全国に紹介した鶴岡出身の動物愛護家・齋藤弘吉氏の古里にもらわれたハチ公像の不思議な“恩返し”の物語を市民にも広く知ってもらいたい」、有坂駅長は「ハチ公と言えば駅。ようやく駅に戻ってきたという思いがある。展示開始の24日はSLが鶴岡駅に30分ほど停車する。多くの方から見てもらい、いずれ待ち合わせのスポットになれば」とそれぞれ話していた。