2012年(平成24年) 8月26日(日)付紙面より
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お盆を過ぎて庄内浜で大量に出現している「スナイロクラゲ」と「アンドンクラゲ」が、鶴岡市立加茂水族館(村上龍男館長)で展示されている。いずれもこの夏に同館近くの砂浜で採集したクラゲ。親子連れなどが水槽内を漂うクラゲの姿を観察している。
スナイロクラゲは初夏から初秋にかけて発生するビゼンクラゲの仲間。自然の状態では青みがかった体色で、漁業者からは「青ダンゴ」と呼ばれている。飼育していると名前通りの薄い黄土色に変化するという。食用になるクラゲで、同館が毎年秋に実施している「クラゲを食べる会」でも食材に使われている。
アンドンクラゲは行灯(あんどん)を思わせる立方型の傘に、20センチほどにもなるむち状の長い触手が伸びる姿が特徴的。庄内浜で盆すぎに海で泳ぐと、刺してくるクラゲの多くがこのアンドンクラゲとされる。毒性が強く、刺された時に猛烈な痛みを感じることから「デンキクラゲ」の異名を持つ。庄内では「イラ」と呼ばれている。
スナイロクラゲは約20匹、アンドンクラゲはその数倍と、いずれも水槽内を埋め尽くすほどの数が展示されている。観光中の親子連れがアンドンクラゲの前で足を止め、「きれいだけど怖いクラゲだって」などと会話を交わしながら観察していた。スナイロクラゲは来月半ば―末ごろまで展示する。アンドンクラゲは個体の状態に左右されるため展示期間は短いという。
村上館長は「スナイロクラゲは、2000年に世界で初めてこの水族館で人工繁殖に成功したクラゲ。このクラゲが“クラゲ水族館”の出発点ともいえる」と話していた。