2012年(平成24年) 9月18日(火)付紙面より
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東北公益文科大(町田睿学長)は16、17の1泊2日の日程で、「庄内文化体験」を鶴岡市内の2カ所で実施した。人間教育の一環として初めて導入したもので、学生らが羽黒山(鶴岡市羽黒町)での山伏修行と善寳寺(同市下川)での禅修行に挑戦した。
今年7月に町田学長が記者会見した際、実施の方針を示していた。「座学では得られない体験学習を通じて日本古来の精神文化を学び、日本人としての品格と自負を備えてもらう」(町田学長)という趣旨。本年度は1年生を中心にしたトライアル(試行)で、希望別に山伏修行に51人、禅修行に35人の計86人の学生と、教職員12人の計約100人が参加した。
このうち善寳寺では初日の16日の午前、緊張した表情の学生らが参集。庄司良圓単頭老師から、礼拝や歩くときの手の形、「三黙道場と言い、座禅堂、便所、風呂場ではしゃべってはいけない」など基本的な作法を聞いた後、専門僧堂に向かい、座禅を組んだ。
庄司老師から「まず体を真っすぐにする調身、次に呼吸を調える調息を行えば、調心として心も調ってくる」などと口宣(くせん、法話)を聞きながら、学生たちは足を組み、背筋を伸ばし静かに座っていた。
ともに1年生で、山形市出身の三浦和樹さん(19)は「足首が痛くてきつかったが、普段はできない体験として面白く、何か得るものがあると思う」、小国町出身の舟山健太さん(19)は「時間などルールがきっちりとしていて、予想より厳しいが、ここでしか教えてもらえない作法などを覚え、とても貴重な体験」とそれぞれ感想を話した。
午後からは本格的な座禅。食事は一汁一菜を基本にしたもの、午後9時に就寝し、翌朝は午前5時に起床して祈祷(きとう)、五十嵐卓三住職の法話など、質素で規律正しい生活に身を投じた。
一方、山伏修行は、羽黒山随神門から山頂までの登拝、緒方久信宮司の講話、禊(みそぎ)などを行った。
来年度は庄内藩校致道館の儒教文化を踏まえた「論語素読」を加えた3メニューとし、正規の授業とする方針だ。