2012年(平成24年) 3月16日(金)付紙面より
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大阪―青森間を結び、庄内では鶴岡、酒田の両駅に停車する寝台特急「日本海」が17日、定期運行を終える。ダイヤ改正に伴うもので、車体の老朽化や利用客の減少が理由という。運行終了を前に、利用者からは「関西と東北の日本海側を一本で結ぶ列車がなくなるのは残念」と声が上がっている。今後、「日本海」は5月の大型連休など繁忙期に臨時列車として運行する予定。
「日本海」は1947年7月に運転を開始。50年11月に現在の名称となり、68年に寝台特急となった。一時は1日2往復運行され、青函トンネルの開業に伴って1往復が函館駅まで運転されるなど、ブルートレインの一つとして人気を呼んだ。利用客の減少に伴い、2008年3月から1往復となった。
現在は10両編成で、A寝台とB寝台を有する。定員246人。JR東日本新潟支社によると、近年は航空機や高速バスへの移行が進み、10年前と比べて年間平均乗車率は4割程度に落ち込んでいる。2010年度の平均乗車人数(1本当たり)は約130人だった。
定期運行終了を目前にした15日午前0時半ごろ、鶴岡駅に到着した「日本海」には数人の乗客が乗り込んだ。また、ホームの端で車体を撮影する鉄道ファンの姿も見られた。大阪経由で四国巡拝に向かうという鶴岡市の70代の夫婦は「寝台特急は日中に移動するより一日得したような気になるので、よく利用していた。定期運行の終了は残念。繁忙期以外の割引がありがたかったのだが」と話していた。
今年1月下旬ごろから「日本海」のA寝台は連日、満席の状態が続いている。同支社は「『最後の記念に』と乗車する人が多いのでは」とみている。定期運行最終日の切符は発売開始後、青森行きが15秒、大阪行きが10秒で完売したという。
「日本海」は4月以降、大型連休やお盆の時期など繁忙期に臨時列車として運転される予定。
2012年(平成24年) 3月16日(金)付紙面より
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空港や駅などの交通拠点から各地の観光名所に至る行程で、外国人旅行者に言語面での障害を感じさせない「言語バリアフリー」な移動環境の実現に向け、国土交通省東北運輸局などは現在、酒田市を含む管内4エリアで外国人から街を点検してもらい、改善点を挙げるモニター調査を実施している。今年1月に引き続き2回目の実地調査が14日、同市中心部で行われ、海外からの留学生約30人が、第1回調査の際に提言した改善点が整備されているかどうか確認して回った。
交通拠点での案内表示、バスなどの車内放送、観光地に置くパンフレット、施設を紹介する案内看板などに複数の言語を使用することで、外国人旅行者の言語面での障害を取り除き移動を容易にしようと、同運輸局国際観光課は本年度、酒田とともに、平泉(岩手県)、塩釜・松島(宮城県)、会津若松・喜多方(福島県)の4エリアでモニター調査を実施している。
このうち酒田では今年1月6日に留学生たちが実際に中心部を回り調査。「市定期航路事業所内には日本語表記しかない。これでは飛島に行くことができない」「観光施設や駅などに多言語の観光パンフレットを備え付けてほしい」などと提言した。これを受け、市観光物産課は、同事業所の案内表示や飛島を紹介する観光看板を一新し、▽英語▽中国語・簡体▽同・繁体▽ハングル―の表記を追加。さらにJR酒田駅や山居倉庫、同事業所などの観光拠点に多言語の観光パンフレットを置いた。
今回の実地調査は、1回目の調査と比較して整備状況を検証・測定するのが狙いで、米国や中国、韓国、タイなどから山形大学に留学中の男女学生約30人が参加。庄内空港やバスターミナル、酒田駅、山居倉庫、同事業所を回り案内表示を確認したほか、空港と市街地を結ぶバス、定期旅客船とびしまの案内放送を点検した。
米国オクラホマ州出身で、山大人文学部に留学中のアーレン・カーウッドさん(22)は「1月に来た時は英語での表記が少なく分かりにくかった。今回の調査では英語での表記に加え、シンボルマークを多用するなど分かりやすくなった。これなら1人でも市内を観光して回ることができそう」と話していた。
同運輸局国際観光課の五十嵐誠課長補佐によると、酒田市役所で今月23日、2回にわたって調査した結果の報告会を開催する予定という。