2012年(平成24年) 3月2日(金)付紙面より
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庄内地方の県立12高校で1日、卒業式が行われた。春の兆しを感じさせる穏やかな青空の下、卒業生たちは3年間慣れ親しんだ学びやと決別、それぞれの道へ第一歩を踏み出した。このうち、酒田商業高全日制(中山英行校長、生徒310人)と酒田工業高(齋藤裕司校長、同477人)は、他の酒田市内2公立高と統合して4月に県立酒田光陵高校となるため、この日が最後の卒業式。万感の思いで見つめるOBらに見送られ、両高校として最後の卒業生が巣立った。
酒田商業高では午前10時前、胸にコサージュを付けた卒業生119人が、在校生や保護者らの拍手に迎えられて同校体育館に入場。中山校長が卒業生一人一人に「おめでとう」と声を掛けながら卒業証書を手渡し、最終の授与では「第1万2892号」と読み上げた。続く式辞で「卒業生の皆さんは『最後の酒商生』としてのプライドと進取の気性を持ち、人生という舞台で飛躍してほしい。前途が輝かしいものであることを祈る」と、はなむけの言葉を贈った。
来賓祝辞に続き、在校生を代表して生徒会長の阿部雅大君(2年)が「皆さんは最高の先輩。社会に出ても困難を打ち破り、『酒商生ここにあり』という活躍をされると信じている。私たちは4月から酒田光陵高生になるが、卒業生の教えを基に良き校風を築くことを誓う」と送辞。
卒業生代表の佐藤純一郎君が「この3年間で多くの思い出、一生の友達をつくることができた。楽しく充実した高校生活を送れたのも先生方や父母をはじめ多くの方々のおかげ。感謝申し上げる。私たちは最後の卒業生という誇りを持ち、大きな翼を広げて羽ばたく。在校生の皆さんには、酒田光陵高が酒商よりも良い学校になるよう頑張ってほしい」と答辞を述べた。
全員で「蛍の光」を斉唱。卒業生たちは、吹奏楽部の演奏と出席者の温かい拍手に包まれながら退場した。
庄内地方では公私立、定時・通信制課程を含めて11日までに全ての高校で卒業式が行われる。
2012年(平成24年) 3月2日(金)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館(村上龍男館長)で29日、「不死のクラゲ」として知られるベニクラゲをテーマにした新しいレストランメニュー『ベニクラゲ不老不死膳』の試食会が行われた。実際に使用されているのは食用のエチゼンクラゲなどだが、ごまやくず粉などの健康食品と組み合わせ、「ベニクラゲにあやかって健康で長生きできるように」と思いを込めたメニューで新たな話題を提供していく。
ベニクラゲは死を迎える際、体からポリプ(刺胞動物の基本形)を生み出し、稚クラゲとなって若返る不思議な生態を持つ。このベニクラゲをヒントに、同館は昨年末ごろから「新水族館の完成に向けて、レストランもレベルアップしてお客さんを迎えよう」と新メニュー開発を進めてきた。
ベニクラゲは平均の体長5、6ミリと小さく食用には向かないことから、これまでレストランのメニューに使っていたエチゼンクラゲをそのまま使うことに決めた。その上で、プロの料理人からプロデュースしてもらったメニューを打ちたてようと、酒田市の料亭「鵜渡幸」の総料理長・須田剛史さん(36)にメニュー考案を依頼した。
この日の試食会には、地元の旅館関係者など約20人が出席。発表された「ベニクラゲ不老不死膳」のメニューは「浅ネギとクラゲ、若鶏のごま酢みそあえ」や、「くらげの生春巻き」などの前菜、『細く長く長生きができるよう』という意味合いの「くらげの魚麺」、「くらげのつみれ」やサツマイモ、桜麩などの煮物、「くらげ茶碗蒸し 銀餡(ぎんあん)掛け」など12品。
デザートはカシスアイスに葛(くず)寄せを乗せ、綿あめで包んだ一風変わった品を披露した。温かいコーヒーをかけると綿あめが溶け、中からベニクラゲをイメージした赤いアイスが現れるというもの。「白い綿あめもクラゲで、溶けたら別のクラゲが現れるという“再生するベニクラゲ”を表現した。メニューの中で最も考えるのに時間がかかった品」(須田さん)という。
試食とともに、須田さんは「老化を遅らせる効果があるごま、滋養強壮効果があるくず粉に加え、食用になるクラゲは加熱すると消化不良を解消し、血圧を下げる効果がある」などと説明。健康に配慮したメニューを考案したと伝えた。
出席したつかさや旅館の若女将・庄司愛恵さん(26)=鶴岡市湯田川=は「くせがないコリコリした食感で、とてもおいしい。見た目も華やかで楽しいお膳」と話した。また、村上館長は「一流の料理人の手でレストランメニューが進化した。遠方から来てくれるお客さん、地元の皆さんをおいしい料理で歓迎し、喜んでもらえれば」と話した。
不老不死膳は今月19日ごろ、同館クラゲレストランで提供を始める予定。料金は1人前1000円(デザート付き1200円)。