2013年(平成25年) 5月12日(日)付紙面より
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「刈屋梨」のブランドで知られる酒田市刈屋地区で、梨の授粉作業が最盛期を迎えている。
同地区は日向、荒瀬両河川の合流地点に位置し、河川敷の肥沃(ひよく)な土壌を生かして明治時代後期、約110年前から梨の栽培が行われている。現在は「幸水」「豊水」など和梨を中心に約35ヘクタールの園地が広がり、例年ゴールデンウイーク後半ごろから、梨の花で一面が白いじゅうたんのようになる。
刈屋梨出荷組合の土井正幸組合長によると、今年は寒い日が続いて開花が遅れ、それに伴って授粉作業も例年より1週間ほど遅れており、連休明けになってやっと本格化したという。近年で授粉作業が最も遅く終わったのは一昨年で12日。今年もそれと同じか、さらに遅くなるとみている。
青空が広がった10日は、棒の先に綿毛が付いた「ボンテン」を使い、花びらを一つ一つ軽くたたくようにして花粉をめしべに付着させる作業を、家族に親類らも加わり総出で取り組んでいた。
授粉作業が終わると、約2週間後には余分な実を取る摘果(てきか)作業が始まる。土井組合長は、今月初旬に降ったあられが、実になる部分に影響を与えていないか危惧。「慎重に調べてエクボなどができそうな実は確実に摘み、『刈屋梨』のブランドを落とさないようにしたい」と話している。