2013年(平成25年) 5月18日(土)付紙面より
ツイート
旬を迎えた「孟宗(もうそう)」を中心に、地域の食材・食文化を多角的に学ぶ講座が16、17の1泊2日の日程で、「朝堀り孟宗」のおいしさで定評のある鶴岡市湯田川などで行われた。市内の飲食店や観光の関係者らが、学識者による講義と、孟宗尽くしの料理、生産者の指導による収穫体験などを通じ、五感を使い孟宗の魅力を学んだ。
この講座は、鶴岡市食文化創造都市推進協議会(会長・榎本政規市長)の鶴岡食文化産業創造センターが昨年度から開いている「おもてなし講座」の一環。地域の食材・食文化について、よそから来た人に紹介できる知識を身に付けるもので、今回は本年度初回。山形在来作物研究会長の江頭宏昌山形大農学部准教授がメーンの講師となり、同市と庄内町の男女12人が受講した。
初日は鶴岡市早田で孟宗生産者の話を聞き、海岸部特有のアオサ入りの孟宗汁を試食。夕食は湯田川温泉のますや旅館で、孟宗の刺し身、焼き物、てんぷら、ご飯、汁など孟宗尽くしを堪能。夜は同所で、江頭さんによる孟宗の歴史と種類などに関する講義を聞いた。
江頭さんによると、孟宗はわが国では江戸時代、鹿児島・仙嶽別館と江戸・薩摩藩邸の2カ所を起点に全国に普及したとみられ、「庄内にも、薩摩藩邸にあったものが移植された可能性が高い」とした。また、「庄内は孟宗の商業栽培の北限」とし、保湿性が高く民田ナスの「土漬け」に使う活性白土や水分を好む梅が多いことから、「金峰山麓は生育に向くのでは」などと語った。
翌朝は湯田川の生産者・大井康博さん(63)、ますや旅館の齋藤良徳さん(45)の指導で、齋藤さん方の竹林で孟宗掘りを体験。地下茎が伸びる方向を、掘らなくても分かる大井さんらの指導に、参加者は「すごい」と感心しながら、楽しそうに掘っていた。
地域誌「クレードル」の編集者で、着地型観光プラン立案に生かしたいと参加した松浦茜さん(30)=鶴岡市砂田町=は「鶴岡に生まれ育ったのに、孟宗は1年であの高さに伸びるなど、初めて聞く話が多かった。掘るのは大変で、普段、何気なく食べている孟宗のありがたさを実感」と話した。
本年度の講座は今後、山ブドウやソバなどをテーマに、2回程度開く予定。