2013年(平成25年) 11月12日(火)付紙面より
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ものづくりの面白さと鶴岡工業高の生徒たちの取り組みを地域に発信する「鶴工ものづくり展」が9、10の両日、三川町のイオン三川ショッピングセンターで開かれた。二足歩行ロボットの操縦体験や、空き缶を集めるメカトロロボットの操縦実演などが家族連れの人気を呼んだ。
生徒たちが授業で学んだ成果を披露し地域に開かれた工業高校をPRするとともに、「ものづくり」の楽しさを伝えようと毎年この時期に実施している。
10回目を迎えた今回は機械システム、生産システム、電気電子システム、情報通信システム、建築システム、環境システムの各学科から、3年生を中心に2日間で延べ200人の生徒が参加。展示や体験コーナーなど20余りのブースを設置し、買い物客にアピールした。
このうち空き缶を集めて1カ所に積み重ねるメカトロロボットの操縦実演コーナーでは、昨年の全国高校メカトロアイデアコンテストに出場したロボットが登場。生徒が操縦しながら、半円状に並んだ空き缶を1つずつ回収し、1カ所へ積み重ねる複雑な動きを披露すると、親子連れが足を止め「見て、すごいよ」と会話しながら見学した。
また、プラスチック板にアニメキャラなどの絵を描き、オーブントースターで焼くオリジナルキーホルダーの製作体験や、ペットボトルとLEDライトで作るクリスマスツリー製作体験などの各コーナーが、子供たちの人気を集めていた。
電気電子システム科3年の本間啓介君は「一生懸命作ったロボットを大勢の人に見てもらえるのはうれしい」と笑顔で話していた。
2013年(平成25年) 11月12日(火)付紙面より
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「佐藤藤蔵重好翁頌徳会例祭」が10日、遊佐町の西遊佐小学校(村岡真人校長、児童65人)で行われた。神事に続き、子供たちが植林の歴史を劇にして披露。自然保護の大切さを訴えた。
製塩の燃料や戦乱のために木が切られ、荒れ果てた同町西山地区一帯の植林に心血を注ぎ、今に残るクロマツの美林にした佐藤藤蔵翁(1718―97年)の遺徳をしのび、功績をたたえて後世まで伝えようと、昭和3年11月10日に昭和天皇から翁に従五位が贈られたのに合わせて毎年同日に、町が例祭を行い、自然保護の決意を新たにしている。
今年も翁の遺族や親類、町議、地域住民や児童ら約150人が参列。頌徳会会長の時田博機町長が祭文、村岡校長が祭詞を読み上げ、遺族らが玉串をささげた。
例祭終了後、地元の子供たちが総合学習の時間に取り組んだクロマツ林の歴史など研究成果を発表。西遊佐小4年12人は「西遊佐の松を守りたい」と題し、藤左衛門・藤蔵父子らに扮(ふん)した劇と、庄内の砂防林は幅が約1・5キロで全国一、長さは約33キロで2位などとクイズ形式で発表を行い、藤左衛門が残した家訓「一本の木を切りたおしたものは自分の手を一本切りおとせ」「一本の木を材木として使ったら30本の苗木を植えよ」などと書いた紙を垂らし、最後に「たくさんの人々が守ってきたクロマツ林を、私たちも守ります」と決意を述べた。
その後、稲川小(加藤博之校長、児童101人)の4年生19人が劇「砂風とたたかう?藤左衛門と藤蔵親子の物語」を披露。地域の人々らから大きな拍手を受けていた。
2013年(平成25年) 11月12日(火)付紙面より
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美味しいモノは隠れてる 小山 浩正
高校時代に限っては英語を得意科目にしていました。それはひとりの教師の巧妙な導きによるものです。原著で小説を読む授業があり、E・ブロンテの『嵐が丘』が教材でした。でも、あんな屈折した話を高校生が喜ぶはずもなく、先生もそれを察したか「本当は『卒業』という小説を読ませたいんだが、未成年には相応しくない濡れ場があるから決して読んではいけない。大学生になったら読みなさい」と言ったのです。この言葉は男子校に通う僕らを神田の書店へと直行させました。ただ、いくら読んでも期待のシーンなど出てこない。己の読解力を疑うウブさゆえ、何度も同じ部分を読み返しては次のページに望みをつなぎ、結局、読破するまで同じ調子。抗議したくともできない。だって、読んではならぬと言われたものを読んだのだから。
禁じられると、かえってやりたくなる心理を『カリギュラ効果』と呼びます。ローマの暴君カリギュラを題材にした映画があまりに過激なので、アメリカの一部地域が上映禁止にしたら、かえって全米的な話題となった現象に由来します。以降「決して○○しないでください」というフレーズは業界の逆説的定番となりました。しかし、禁止の誘惑そのものは、鶴の恩返しや浦島太郎の玉手箱、イブのリンゴやパンドラの箱など昔からお馴染みのものです。この構図が成り立つのは「守られたり、隠されたりしているモノは必ず美味い」という生物全般の原則に裏打ちされているからではないでしょうか。
例えば、クルミは堅い殻に隠れています。中に美味いナッツがあるからです。クリに棘があるのも同じこと。餌としての質が高いからこそ隠すに値し、守る価値があるからこそがっちりガードするのです。植物だけではありません。牡蠣やサザエも殻に守られ、ウニは棘だらけ。もし、未知の生き物と出逢って、それが堅い組織に隠れていたら、中身は間違いなく美味いと考えて良いでしょう。逆に、毒や苦味で防衛する種は本体を堅いガードで隠す必要はそれほどないのです。食べる側もこの原則を分かっているから、守りが堅いモノほど中身が気になり、何とかこじ開けたい衝動に駆られます。この衝動こそが、パンドラに箱を開けさせ、機(はた)を織る夕鶴の姿を覗きたくてたまらなくさせるのでしょう。
この心理を巧みに使ったのが仏王ルイ16世。南米渡来のジャガイモを庶民に普及させるため「これは王家の貴重な食材だから決して盗んではならぬ」と張り紙した上で、あえて夜間の警護を緩めました。同じ手口にやられた若き日。そりゃね、エッチだから絶対に読むなと言われりゃ健全な男子は二重に誘惑されるわけで、実に巧みな「教育」でした。
就職難で近頃の学生は就職活動にも時間を割かねばなりません。思い切って大学院生に「これから数カ月は就活に専念し、研究は一切禁止」と伝えたら、かえってウズウズしたらしく「先生、実験している夢を見た」。少しだけ恩師の境地に近づけたかも。
(山形大学農学部教授 専門はブナ林をはじめとする生態学)