2013年(平成25年) 7月16日(火)付紙面より
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宝くじスポーツフェア「ドリームサッカー in ТSURUОKA(つるおか)」が14日、鶴岡市小真木原陸上競技場で開かれ、サッカー元日本代表の往年の名プレーヤーたちがスポ少の子供たちを直接指導し、地元の35歳以上のチームとの対戦でサッカーファンを喜ばせた。
この日午前中のサッカー教室には、MFとして日本代表を支えた木村和司さんや、攻撃的なサイドバックとして活躍した都並敏史さんら19人の元代表選手がパスやドリブル、シュートなどの基本技術を手分けして指導。鶴岡田川地区のスポ少の子供たち男女約240人が参加した。
木村さんは「右か左か相手が求めている所にパスを出すことを練習時から心掛ける」と実技を交えて指導。他の元代表からは「トラップは体の少し前で止めるイメージで」「ボールを持っていないときの動きが大切」などのアドバイスがあった。
指導を受けた鶴東スポ少6年の平方千尋君(11)は「基本の大切さをあらためて知った。全日本の選手から教えてもらうと、心への響き方がやっぱり違う」と興奮気味に話した。
午後からは元代表選手によるドリームチームと、鶴岡地区サッカー協会所属の35歳以上25人の鶴岡市選抜チームが対戦。30分ハーフの試合で木村さんや都並さん、ドリブルの名手として知られた佐々木博和さんらが現役時代のプレースタイルを披露し、観客から大きな声援が飛んだ。試合は市選抜チームが前半の1点を守って勝利した。
2013年(平成25年) 7月16日(火)付紙面より
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鶴岡市昭和町の八坂神社(斎藤元宮司)で15日、例大祭「胡瓜(きゅうり)まつり」が行われた。参拝客が無病息災を願って神前にキュウリを供えた。
祭神の「牛頭(ごず)天王」は疫病や災厄を免れるとして信仰を集めている。毎年7月15日に行われる例大祭はキュウリ2本を供えて参拝した後、他の参拝客が供えたキュウリを1本「御護符(おごふ)」として持ち帰り、食べると疫病や厄災から逃れられると伝えられている。
この日、午前10時ごろから八坂講講員や地元住民などが同神社を参拝。水屋で手を清めた後、神前に置かれた台に持ってきたキュウリを並べ、静かに手を合わせて1本を押し頂いた。
午後3時に神事が執り行われた後、町内の小学生を中心とした子どもたちが樽(たる)みこしを担いで地区内を練り歩く。午後7時からは神社境内に造られた特設ステージで芸能大会や抽選会が行われる。
2013年(平成25年) 7月16日(火)付紙面より
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動如山(動くこと山のごとし)!? 菊池 俊一
「疾如風 徐如林 侵掠如火 不動如山」(疾(と)きこと風のごとく、徐(しず)かなること林のごとし、侵(おか)し掠(かす)めること火のごとく、動かざること山のごとし)」
これは、甲斐の戦国大名の武田信玄が用いた旗指物(軍旗)に記されていた有名な文句で、通称「風林火山」と呼ばれます。中国の著名な兵法書からの部分引用だそうで、その意は「兵隊が移動するときは風のように速く、留まる時には林のように静かに、攻撃するのは火のように(激しく)、防御は山のように(ドッシリと構えて)」となるでしょうか。戦における兵隊の動きを、よく知る「風・林・火・山」といった自然界の事物・事象に擬えた教えです。
でも、ちょっと待ってください。我が国の山のことを考えると、違和感をおぼえる部分がこの句にあります。「不動如山(動かざること山のごとし)」。えっ、山は動かない? 急勾配の土地が多く雨がたくさん降る我が国では、そんなことはありません。足を持つ獣のように山が始終動き回ることはありませんが、山だって「変動」するのです。変わる時には変わるんです。
「地すべり」という現象をご存じでしょうか。山の斜面を構成する土砂がなんらかの要因によって斜面上でのバランスを失い、塊状を保ちながら、重力の作用によって下方または外方へ滑動する現象です。近年大きな動きがあった旧朝日村大網の七五三掛地区や庄内町立谷沢地区濁沢の地すべりの他にも、その大きさは様々ながら、私たちの生活・生産圏には数多くの地すべりが潜んでいます。地すべり斜面の勾配が比較的緩いことから、民家周辺では耕地などに利用されている所が多いためです。それらが融雪や大雨をきっかけに動き出すのが「地すべり」という現象です。私たちの山は動くことがあるのです。
奥山の地すべり地では急勾配の崩壊地とは違って、その地面(地すべり土塊)が植生に覆われている場合がほとんどです。また、地すべり活動(土塊の滑動)は再発することもしばしばです。そのため、地すべり土塊の上で生育する樹木は望むと望まないに関わらず、その樹体に地すべり活動の「履歴」を記録することとなります。
土塊が滑動すると地面の勾配が変わったり、亀裂が生じたりします。そのような地面の変容に伴って樹木は傾く場合があります。傾いた幹の形成層は与えられた重力刺激に反応し、傾きを修復するための特殊な細胞を作りつつ、重力と反対の方向に伸びていきます。この特殊な細胞からなる部分はアテ材と呼ばれます。
季節がはっきりとした我が国では、樹木は年輪を形成します。この年輪とアテ材を組み合わせた解析から、その樹木が生きてきた地面がいつ動いたのかを探ることができます。地面が動き、その勾配が変わったことによって幹は倒れ、アテ材を年輪内に作りだすのです。いわば、普段は無口な地面が、樹木を通訳に、その変容の履歴を饒舌に語ってくれるとも言えるでしょう。
森を訪れ、切り株を見つけたなら、その断面にアテ材が作られていないかどうか、じっくりと観察してみてください。あなたの立っているその場所。実は激動な運命をたどった土地なのかもしれませんよ。
(山形大学農学部准教授 専門は流域スケールの環境保全・再生学)