2013年(平成25年) 9月3日(火)付紙面より
ツイート
慶應義塾大教養研究センター(所長・不破有理経済学部教授)が「生命」をテーマに庄内地方で繰り広げた「庄内セミナー」は1日、鶴岡市のいでは文化記念館を拠点に山伏修行を行い、同大の学生らが滝打ちなどを通じて擬死再生の行を体験した。
庄内の自然、文化、歴史を体感し幅広い学びにつなげようと開き、今年で4回目。学部・大学院の学生30人と卒業生ら社会人8人の計38人が参加。「庄内に学ぶ生命―あらためて生と死を考える」をテーマに、8月30日―9月2日の3泊4日の日程で、注連寺(大網)での即身仏拝観、旧藩校致道館での論語素読など多角的に学んだ。
受講生たちは1日、いでは文化記念館で白い袴に宝冠など山伏姿になった。山伏修行体験塾の渡辺吉兆さんから山伏の歴史や「山伏の返事は『うけたもう』(分かりました)だけ。その精神で全てを受け入れて」など心構えを聞いた。引き続き庄内町立谷沢に移動し、山駆け、滝打ちに挑戦。玉川での滝打ちでは、雨で増水した川水が白い激流となって降り注ぐ中、学生らは体を震わせながら、必死の形相で手を合わせていた。
文学部3年の池田絢音さん(21)は「滝から出た後、地面が温かく、風の音がはっきり聞こえ、感覚がクリアになった感じ。即身仏は、衆生を救うためにそこまでやるのかと強く印象に残ったが、それを考えれば滝打ちも特別なことではないのかも」、昨年に続き2回目の参加という経済学部2年の児玉隼平さん(19)は「滝打ちはつらいが、全てを忘れて無になれる感じ。庄内には、体と自然が一体になれる空気感があり、好きになった」とそれぞれ感想を話した。その後はいでは文化記念館で、トウガラシをいぶした煙の中に居続ける「南蛮いぶし」、再生になぞられ火を飛び越える「出生(でなり)」などを体験。最終日の2日は慶應大先端生命科学研究所を見学した。後日、「生命」に関するレポートをまとめ考えを深める。
2013年(平成25年) 9月3日(火)付紙面より
ツイート
統合により来年3月で閉校する酒田市の松山中学校(松本克則校長、生徒127人)で1日、最後の運動会が開かれた。フィナーレを飾って男子生徒有志が組体操「三段円塔」を披露。頂上の生徒が「ありがとう松山」と書かれた巻き物を広げると、詰め掛けた家族らから大きな拍手が沸いた。
同校は平田地域の飛鳥中と来年4月に統合、「東部中学校」として新たに出発する。校舎などは飛鳥中の施設を使うため、松山中のグラウンドで開く運動会は今年が最後。そこで2、3年生男子13人が、組体操などを披露して慣れ親しんだ学校に感謝の気持ちを示そうと、この日のために三段円塔と日本体育大の独特な応援スタイル「エッサッサ」を練習してきた。
運動会最後の種目・学年別リレー終了後、「必勝」「闘魂」の鉢巻きを締めた生徒たちは本部前で、しゃがんだ1段目8人の上に2段目の4人が乗り、最後に3段目の1人が上った後、全体がゆっくり立ち上がって三段円塔を完成させた。そこで頂上の生徒が「ありがとう松山」の巻き物を垂らすとともに大きな声でその言葉を叫び、母校に感謝を伝えた。
組体操に参加した2年生の末次竜也君(14)は「練習の時よりもうまく演技できて良かった」と感想。来春から統合中に通うことについては「新しい友達がすぐできるか心配だが、みんなが協力して新しい学校をつくっていきたい」と抱負を述べた。
自身も松山中の卒業生で、2年生の娘が在籍しているという佐々木祥さん(51)は「応援スタイルはずいぶん様変わりしたが、周りの風景は同じ。当時の思い出がよみがえる。閉校式にはぜひ参加したい。娘たちには、統合中の1期生として頑張ってほしい」と話してい
た。