2014年(平成26年) 3月15日(土)付紙面より
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JR東日本の春のダイヤ改正で廃止が決まっていた寝台特急「あけぼの」(上野―青森)が4日夜、最終運行を迎え、44年の歴史に幕を下ろす。あけぼのが停車するJR鶴岡駅では連日、鉄道ファンが深夜に集まり雄姿をファインダーに収める姿が見られた。
あけぼのは1970年10月に東北本線、奥羽本線経由で運行開始。最盛期には毎日3往復(上野―青森間2往復、上野―秋田間1往復)の運行があった。その後、90年の山形新幹線着工により1往復の列車名が「鳥海」に変更されるなど変遷を伴い、97年以降は高崎線、上越線、羽越本線経由の「鳥海」が「あけぼの」に改称された。
一日1往復運行され、庄内での停車駅はあつみ温泉、鶴岡、余目、酒田、遊佐の各駅。昨年12月にJR東日本がダイヤ改正による廃止(臨時列車化)を発表した。
“ラストラン”前夜の13日午後11時半ごろ、JR鶴岡駅に上りの「あけぼの」が停車すると、7、8人の鉄道ファンがカメラを構えシャッターを切る音がホームに響いた。京都市から足を運んだ中村倫朗さん(23)は「東北に来る際、何回も使わせてもらった。なくなるのは寂しいし不便になる。14日の最後の運行は青森まで行くつもり」と語った。同駅の山口重人駅長は「廃止が発表されて以降、鶴岡駅でもあけぼのの姿を写真に収める人の姿を見掛ける。多い時は7、8人で、おそらく14日の最終運行日はホームが混雑するのでは」と話していた。
東北と首都圏や関西地方を結ぶ定期夜行列車(ブルートレイン)は1990年代以降、東北、上越、山形の各新幹線の開業や老朽化などにより、次第に路線統合、廃止が進んだ。2012年3月には「日本海」の定期運行が廃止され臨時列車化された。現在、あけぼのが東北発着の夜行列車としては唯一の便だった。
鶴岡市内の男性(75)は「ブルートレインは二十数年前に乗ったのが最後。ちょうど3月ごろで、お土産を手に古里に戻る出稼ぎの人たちが多く、家族と会える喜びでほっとした表情を見せていた。当時は向かい合わせの3段ベッドで、午後11時ごろに上野を出発してワンカップを片手に『どこの飯場にいた』などと会話していた」と懐かしそうに振り返った。