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荘内日報ニュース


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2014年(平成26年) 7月15日(火)付紙面より

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かすりのもんぺ姿で体験 鶴岡市松ケ岡 二番茶摘み取りお茶作り

 130年ぶりにお茶の栽培に取り組んでいる鶴岡市羽黒町松ケ岡で12、13の2日間、二番茶の摘み取りなどの「お茶づくり体験イベント」が行われた。茶摘み娘の衣装を着て茶葉を摘み取ったり、紅茶とウーロン茶作りに挑戦した。

 同地区では明治初期、旧庄内藩士が松ケ岡を開墾し養蚕を始めた際にお茶を植えた歴史がある。2010年に庄内藩主酒井家第18代当主の忠久さんと、埼玉県入間市博物館の黒澤一雄館長が出会い、同博物館の試験として耐寒性の4品種約2200本を本陣近くの約2アールに植栽、栽培に取り組んでいる。

 今年は、5月に一番茶を摘み取り、今回は二番茶の摘み取りに合わせて体験イベントを企画。2日間で延べ約20人が参加した。

 初日の12日は市民ら約10人が参加。初めに本陣で入間市博物館学芸員の工藤宏さんが「知ってためになるお茶の知識」と題し講話。ツバキ科カメリア属の植物から製造、加工したものが商品としての「茶」と定義され、茶葉を蒸したり発酵させたりすることによって、同じ茶葉から緑茶やウーロン茶ができることなどを分かりやすく説明した。

 引き続き近くの茶畑に移動し、二番茶摘みと乾燥作業を体験。希望する女性参加者にはかすりのもんぺに赤い前掛けの茶摘み娘の衣装が貸し出された。茶摘み娘の衣装で摘み取りをした市内在住の女性(44)は「自分でよもぎ茶を作るなど自然のお茶作りに興味があって参加した。なかなか体験できないことができて、楽しい」と話していた。

 13日は摘み取った葉を使い、もんだり(揉捻=じゅうねん)、発酵させながらしぼませる(萎凋=いちょう)作業を繰り返し、紅茶とウーロン茶にして参加者が持ち帰った。

かすりのもんぺ姿の「茶摘み娘」姿で二番茶の摘み取りを楽しむ参加者たち=12日午後
かすりのもんぺ姿の「茶摘み娘」姿で二番茶の摘み取りを楽しむ参加者たち=12日午後


2014年(平成26年) 7月15日(火)付紙面より

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「酒田舞娘」が観光客歓迎 DCに合わせ7月の毎週日曜日

 開催中の観光キャンペーン・山形デスティネーションキャンペーン(DC)の一環として酒田舞娘(まいこ)が毎週日曜、酒田市の山居倉庫を巡行する「顔見世酒田舞娘文月道中(なながつのみちゆき)」が行われている。13日は小雨がそぼ降る中、酒田舞娘2人がケヤキ並木などを巡行、観光客に観光チラシなどを手渡した。

 観光振興に向けた特別受け入れ企画として山形DC酒田推進協議会(会長・佐藤淳司酒田商工会議所会頭)が、日吉町一丁目の「舞娘茶屋・雛蔵畫廊 相馬樓」(樓主・新田嘉一平田牧場グループ会長)の協力で開催。7月の毎週日曜、午前11時半から約1時間にわたり酒田舞娘が山居倉庫を訪問して口上を述べるほか、チラシなどを観光客に直接手渡す。

 13日は奈々美さん、ゆず葉さんの2人が山居倉庫を訪れた。2人は観光客を前に「お越しいただきましてありがとうございます」と口上。ケヤキ並木や夢の倶楽(くら)入り口で、観光イベントをまとめたチラシ、オランダせんべいなど名産の菓子を観光客に手渡したほか、記念撮影に応じていた。

 酒田舞娘と共に記念写真に納まった、仙台市からバイクツーリングで訪れた男性は「酒田にこんなすてきな文化があるなんて。町並みも最高」と話していた。巡行は20、27の両日も行われる。

観光客の記念撮影に応じる酒田舞娘=13日
観光客の記念撮影に応じる酒田舞娘=13日


2014年(平成26年) 7月15日(火)付紙面より

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森の時間78 ―山形大学農学部からみなさんへ―

やまびこの謎 野堀 嘉裕

 やまびこは山林での音の反射現象のひとつです。明治時代以前は妖怪が人を相手に声をまねて遊んでいるのだと言い伝えられてきました。日本でやまびこを知らない人はいないと思いますが、実際に経験したことがある人はそれほど多くないと思います。そのやまびこは鶴岡市街からそれほど遠くない月山ダムの管理事務所周辺では良く聞こえます。湖水の反対側に向かって「ヤッホー」と叫ぶと少し遅れて「ヤッホー」と返ってきます。このやまびこについて調べてきた中でいくつかの面白い話を紹介しましょう。

 やまびこが良く聞こえる条件を探るために毎月15日、同じ場所で音を出してやまびこが返ってくる条件を調べました。7月には24時間調査も行いました。山中にデジタル発信機、スピーカー、高感度マイク、デジタル録音機などを持ち込み大きな声で叫んでいると、いったい何をしているのかと尋ねられます。調査の結果、夏でも冬でもやまびこは聞こえますが、雨でない日の日没後、湿度が高くなる時間帯で、女性の甲高い声だと良く聞こえることがわかりました。昔語りでは夏の夜半によく出る妖怪とされていますが、条件はピッタリです。昔の人の感覚には感心させられます。

 湖水の対岸の地形が大きく湾曲しているところでやまびきは大きく聞こえますが、対岸に小さい湾曲部分がいくつもあれば、やまびこが複数回返ってくることもあります。日本で最も大きなやまびこが返ってくることで知られているのは和歌山県日高川町です。何回も返ってくるやまびこで有名なのは徳島県上勝町です。いずれも町おこしの起爆剤にやまびこを活用しています。なんと徳島県上勝町では7回のやまびこを観測したことがあるそうです。月山ダム周辺では最大で3回のやまびこを聞いたことがあります。

 一方、月山ダム管理事務所から10分くらいのところに「たしろ多目的広場」がありますが、ここは他と違って面白い特徴を持っています。やまびこの良く聞こえる場所から下流方向に50メートルの巻尺を引いて5メートルごとに人に立ってもらいます。一番最初の人にヤッホーと叫んでもらい、どこからやまびこが聞こえたのか、腕を挙げてその方法を指示してもらうと、皆さん違う方向を指します。つまり、皆さんが同じやまびこを聞いているわけではないということになります。昔の人がやまびこを妖怪の仕業だと思ったのも無理はありません。誰かの声を真似する妖怪は色んなところにたくさんいることになるのです。相当不気味なことだと思ったに違いありません。

 欧米の人にやまびこのことを問うと、おそらく新幹線のことかと答えると思います。ほとんどの欧米人はやまびこのような自然現象に無関心です。スズムシの鳴き声と同じで、なんでやまびこが面白いのかわからないといいます。欧米人の無関心はやまびこの謎のひとつかもしれません。

(山形大学農学部教授 専門は森林資源計画学)

月山ダム湖 2011年11月4日=自然写真家・齋藤政広撮影
月山ダム湖 2011年11月4日=自然写真家・齋藤政広撮影



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