2015年(平成27年) 1月18日(日)付紙面より
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鶴岡市黒川地区で17日、王祇祭(来月1、2日)の準備作業の「豆腐焼き」が行われた。凍(し)み豆腐料理にして祭り客へ振る舞うもので、地元住民たちが大きないろりの周りに座り、串刺しにした豆腐をこんがりと焼き上げた。
王祇祭は同地区の最大の祭りとして県内外に広く知られている。地区の鎮守・春日神社からご神体「王祇様」を上、下の各当屋に下ろし、黒川能を奉納上演する。凍み豆腐料理は各当屋で幕あいなどに振る舞われる。豆腐が大量に使われることから王祇祭は「豆腐祭り」の異名がある。
今年の当屋は、上座が遠藤甚男さん(80)=橋本、屋号・甚右衛門=方、下座は岡部栄喜さん(82)=大杉、屋号・四郎左衛門=方。
このうち下座の岡部さん方では17、18の2日間、親戚や近隣の住民が集まって豆腐焼きの作業。自宅敷地内に仮設小屋を建て、木の枠に土と豆腐のおからを詰めて土手にし、大きないろりを設置した。初日の17日は20人余りがいろりを囲み、串刺しにした豆腐を土手に立て焼いた。
焼き手たちは立ち上る炎の熱気を避けるため、段ボールのお面や手拭いなどで顔を覆い、対面に座る人へ「これ焼げっだぞ」「こんな大丈夫」と竹ざおで指して教え合った。2日間で約300キロの大豆を使い、1万本の豆腐を焼くという。
近くに住む70代女性は「煙と熱気がすごくて、ずっと泣きながら焼いている。大変な作業だけど、お祭りの準備だからみんなで交代しながら頑張っている」と話していた。
凍み豆腐は上下両座で食べ方が違い、上座は鍋で熱々に煮込んだ凍み豆腐を「二番」と呼ばれる汁につける。下座は「二番」を薄めた熱い汁に冷たい豆腐を入れて祭り客に振る舞う。