2015年(平成27年) 3月17日(火)付紙面より
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「鶴岡みらい健康調査セミナー」が15日、鶴岡市覚岸寺の鶴岡メタボロームキャンパス・レクチャーホールで開かれた。「健康長寿」をテーマに、専門の医師らが心身ともに健康で長生きするための調査研究について紹介。同市で進められている市民1万人のデータを長期にわたって追跡調査する「鶴岡みらい健康調査」が目指す未来の健康診断などについて理解を深めた。
慶應義塾大先端生命科学研究所と鶴岡地区医師会、鶴岡市などでつくる実行委員会が主催。2012年度からスタートした「鶴岡みらい健康調査」の成果を市民に還元し、健康を考える機会にするもの。みらい健康調査は本年度まで3カ年をベースライン調査としてデータ収集に取り組み、昨年11月で1万人に達した。
この日は市民約150人が参加。「健康長寿研究最前線」をテーマに、前半は百寿者に学ぶ健康長寿として、慶應義塾大医学部百寿総合研究センターの新井康通専任講師が「フレイル予防?超高齢期のからだの健康」、東京都健康長寿医療センター研究所の増井幸恵研究員が「老年的超越?70歳からの幸福感とこころの健康」と題し講演。引き続き講師2人と松田徹県庄内保健所長、後藤輝夫市老人クラブ連合会前会長がパネルディスカッションを繰り広げた。
このうち新井さんは、90歳から90代半ばの百寿者やスーパーセンチナリアンと呼ばれる110歳以上の高齢者らを調査し、「健康で長生きするためにどんなことが必要か」を調査していると紹介。遺伝や生活環境、社会サポート、性格と心理といった複数の要因が絡み合って可能になることを示し、虚弱を意味する「フレイル」という視点から、「健康づくりは一人ではできない。70―80代でフレイルを予防し、栄養摂取と運動習慣をつくるのが大切」と話した。
後半は特定の地域や集団を対象に長期間にわたって健康状態や生活習慣などを調査する「コホート研究」について紹介。東北大学が東日本大震災の被災地で取り組む健康調査や県内での取り組み、慶大先端研のメタボローム解析技術を駆使して行っている鶴岡みらい健康調査の将来展望についてそれぞれ医師や研究者が最新の話題を提供した。