2015年(平成27年) 3月21日(土)付紙面より
ツイート
出羽三山神社神職養成所(鶴岡市羽黒町手向)の「卒業禊(みそぎ)が20日、羽黒山中の祓(はらい)川で行われた。神職として巣立つ卒業生たちが雪解け水の流れる川へ入る荒行で2年間の修行を締めくくった。
同神社は古くから神職の養成に取り組み、1962年から神社本庁承認の養成所を開設している。2年間の課程で神職の専門知識を学ぶとともに、山伏修行にも取り組む。本年度の卒業生は20代の男性5人。
この日は卒業生のほか、教官の神職ら合わせて13人の男女が卒業禊に臨んだ。午前7時すぎ、国宝・五重塔近くの祓川に到着すると船をこぐような所作の「鳥船」で準備運動。「エイホー、エイホー」と独特の掛け声で気合を入れた後、男性は下帯姿、女性は白装束姿で冷水の中へ入った。
雪解け水と雨で増水し、ごうごうとごう音を立てる濁流に胸まで漬かり、竹の梵天や互いの体を支え合いながら一心不乱に祈りをささげていた。無事に終え、10分ほどで川から上がると全身が真っ赤に染まっていた。
先頭で梵天を支えた卒業生の郡山宗臣さん(26)=宮城県仙台市=は「2年間の罪穢(けが)れをはらうつもりで臨んだ。卒業禊は川底に足も着かない状況だったが、今はすがすがしい気持ち。先生方のいいところを受け継ぎ、立派な神主になりたい」と話していた。