2015年(平成27年) 8月5日(水)付紙面より
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鶴岡市のあつみ温泉で、地元有志が実現に向けて進めてきた人力車の運行が始まり、初日の3日、温泉客が川沿いの温泉街をゆったりと巡り、せせらぎの雰囲気を楽しんだ。
あつみ温泉では、自動車が普及するまで人力車が広く利用されていたという。大正時代には、温海駅(現JRあつみ温泉駅)から温泉街までの交通手段として需要がピークを迎え、40人もの車夫が駅で温泉客を出迎えていた。
地域おこしに取り組んでいる地元住民ら有志でつくるあつみ塾(奥井良幸代表)を中心に、酒田市内で観光客向けの人力車運行に携わる「マリーン5清水屋」の協力を得て、人力車を運行するプランを旅館関係者と共同で企画。「人力車のある駅」を復活させ、人力車を温泉街とあつみ温泉駅の特色付けに活用する狙い。
この日は、あつみ温泉街入り口にある「高見屋別邸・久遠」の宿泊客を対象に、温泉街をゆったりと巡った。午後5時ごろ、団体客を乗せたバスが到着すると、旅館前にある人力車に家族連れが興味を示して乗車。神奈川県から家族や親戚と共に旅行に訪れた秋元瑛結ちゃん(8)は「人力車に乗りながら、足湯やお土産屋、昔の民謡などいろいろ教えてもらった。楽しかった」と笑顔で話していた。この日、午後3時から午後6時までの利用は1組。奥井会長は「人力車での温泉街巡りの魅力は十分にある。後はどう情報発信し、定着させていくか」と課題について語った。