2015年(平成27年) 9月1日(火)付紙面より
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慶應義塾大教養研究センター主催の「庄内セミナー」の山伏修行体験が30日、鶴岡市のいでは文化記念館を拠点に行われた。参加した同大の学生らが、滝打ちなどを通じて擬死再生の行に触れた。
セミナーは「生きることの意味を問う」をテーマに28―31日までの4日間合宿形式で行われ、同大の学部・大学院の学生16人と同大OB1人の計17人が参加。期間中、同市大網の注連寺での即身仏拝観、旧庄内藩校致道館での論語素読体験、テーマに沿った講演や議論などを行い、「生きること」について思索を深めている。
30日は、いでは文化記念館で山伏修行体験塾の太田一塾長から出羽三山で行われている擬死再生の行について学び、山伏の装束に着替えて羽黒山抖(と)そうへ。下山した後は、庄内町立谷沢にバスで移動。月山からの霊水が流れ落ちてくるという滝で、滝打ちの行に臨んだ。初めは水の冷たさに体を震わせていたが、次第に心を静め、降り注ぐ冷水の中でじっと手を合わせた。
理工学部1年の田中えりなさん(18)は滝行を終えて、「滝に打たれている時に頭にあったのは、『冷たい』ということだけ。今、体の温かさをあらためて実感している」、商学部4年の楢柴亘大さん(22)は「滝の中で次第に安らかな気持ちになった。自分と自然の境界がなくなるような感覚を覚えた」とそれぞれ話した。
受講生たちは、トウガラシをいぶした煙の中で耐える「南蛮いぶし」、再生になぞらえて火の上を渡る
「出生(でなり)」なども体験。後日、「生命」に関するレポートをまとめ、考えを深める。