2015年(平成27年) 2月17日(火)付紙面より
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鶴岡市の大山地区で14日、恒例の「大山新酒・酒蔵まつり」が開かれた。同地区にある4つの酒蔵を巡って新酒の試飲を楽しむ「酒蔵めぐり」や「大山新酒を楽しむ会」などで、大勢の日本酒ファンが大山の銘酒を心行くまで楽しんだ。
まつりは「酒どころ大山」のPRとともに地酒の消費拡大、地域振興、交流人口の増加につなげようと、実行委員会(斎藤勝元委員長)を組織して1996年に始まった。蔵出しの寒仕込みの新酒が味わえるイベントとして人気があり、毎年隣県や関東、関西など全国からファンが集まってくる。
20回目の今回は多くの人に楽しんでもらおうと、酒蔵めぐり券は正午から午後3時まで使えるものと、午後2時から同4時半まで使えるものの2種類を用意。実行委員会によると4000枚のチケットが完売し、同時開催のイベント参加者を加えると5000人余りが足を運んだという。
酒蔵めぐりは正午からスタートし、大勢の人たちが同地区内の羽根田酒造(白梅)、渡會本店(出羽ノ雪)、冨士酒造(栄光冨士)、加藤嘉八郎酒造(大山)の4蔵元で新酒を味わった。この日は時折ふぶくあいにくの天候となったが、各蔵元の入り口には日本酒ファンが長蛇の列をつくった。前売り券購入者には20回記念の「ヒノキの升」がプレゼントされ、寒い中でイベントスタートを待つ人にぬるかんの振る舞いが行われると、早速升を使って味を確かめる人もいた。
各蔵元では樽(たる)前酒やにごり酒、大吟醸など自慢の酒が並び、参加者が次々と試飲を楽しんだ。また、日本酒の瓶詰め体験や焼きかすの振る舞い、仕込み水の試飲、地物野菜の販売など、蔵元ごとにさまざまな品が用意された。
3年連続で行列の先頭に並んだという横浜市の会社員グループのうち、今回初めて参加した渡辺祐美さん(23)は「すごくフルーティーで、日本酒がこんなにおいしいことに驚いた。来年もまた来たい」、友人から誘われて初めて参加したという鶴岡市の富樫吉弘さん(71)は「大山の酒蔵はどこでもおいしい。楽しみながら4軒全て回りたい」と笑顔で話していた。
また、鶴岡市の上林剛大さん(29)は「さまざまな味が楽しめて、特ににごり酒がおいしい。ゆっくりと回りたい」、神奈川県出身でシンガポール在住の鴻巣遊さん(38)は「里帰りで家族や友人と一緒に大山のお酒を味わいに来た。庄内に住んでいたこともあり、大山のお酒はやはりおいしい。2本しかシンガポールに持って帰れないのが残念」と話していた。
このほか、出羽商工会大山支所やメモリアルプラザアク・サン大山で4蔵元の樽酒試飲などが、同地区の老舗漬物店「本長」で振る舞い酒が行われた。また、大山コミュニティセンターでカクテルパーティー、いこいの村庄内で「大山新酒を楽しむ会」がそれぞれ開かれ、大勢の客でにぎわっていた。
2015年(平成27年) 2月17日(火)付紙面より
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酒田市黒森地区の農民歌舞伎「黒森歌舞伎」(県指定無形民俗文化財)が15日、地区の日枝神社境内の常設演舞場で奉納上演された。「雪中芝居」の異名そのままに時折雪が舞う中、県内外の愛好者らが本狂言「仮名手本忠臣蔵」など、熱のこもった舞台を楽しんだ。
黒森歌舞伎は江戸中期の享保年間(1716―35年)、村人の生活がすさんでいたことに心を痛めた与作という村人が、勧善懲悪の教えを広めようと若衆に芝居をさせたのが始まりとされる。現在は地区住民による「妻堂連中」が受け継ぎ、毎年、「正月公演」として旧正月に前後する2月15日と17日に奉納上演している。1976年に県の文化財に指定された。
今年の出し物は、前座となる黒森小男児による少年歌舞伎が、一昨年と同じ「菅原伝授手習鑑」の「吉田社頭車引の場」、妻堂連中による本狂言「仮名手本―」は、赤穂浪士の討ち入りを題材に設定を変えた物語で、2004年以来11年ぶりの上演となった。
15日は午前10時、黒森小女児による少年太鼓「四季 黒森」で幕開け。神事に続き、正午から少年歌舞伎が上演され、赤い隈(くま)取りの表情や見事な所作の演技に大きな拍手が送られた。午後1時からの本狂言第1幕では、浅野内匠頭役の塩治判官が殿中で、吉良上野介役の高師直のいじめに耐えかね、刀を抜いて斬り掛かった。観客たちは雪が舞う中、特製弁当や酒などを飲食しながら引き込まれるように見入っていた。
境内では、甘酒や呉汁が無料で振る舞われたほか、名物の黒森そばも販売され、観客たちは伝統の村芝居の雰囲気を楽しんでいた。
17日も同じ時間帯、同じ内容で行われる。入場無料。3月1日正午からは同市の希望ホールで「酒田公演」(内容は正月公演と同じ)が行われる。こちらは有料で、前売り500円、当日700円。問い合わせは市黒森コミュニティセンター=電0234(92)2255=へ。