2016年(平成28年) 3月22日(火)付紙面より
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世界的なスタンダードカクテル「雪国」の生みの親で、酒田市中町二丁目の喫茶店「ケルン」マスターの井山計一さん(89)の人となりにスポットを当てるドキュメンタリー映画「YUKIGUNI」の製作が現在、進められている。監督を務めるのは、県内の在来作物に焦点を当てた「よみがえりのレシピ」を撮った渡辺智史さん(34)=鶴岡市。渡辺監督は「若い人に時代を生き抜く力を伝えたい。ドキュメンタリー映画のため監督としての力量が問われるが、井山さんと共に良い映画にしたい」と話す。
井山さんは1926年、酒田市生まれ。仙台市や福島県郡山市などでバーテンダーとしての修業を積み、55年に故郷で「ケルン」を始めた。ウオツカをベースにホワイトキュラソー、ライムコーディアル、ミントチェリー、グラニュー糖で作る「雪国」は、58年に行われた壽屋(現・サントリー)主催「全日本ホームカクテルコンクール」で優勝。現在も自らシェーカーを振り、「ケルン」は全国のバーテンダーの“聖地”となっている。
「井山さんは洒脱(しゃだつ)でおしゃれで軽やかな人。生き方そのものがいいなと思う」という渡辺監督は「井山さんの人柄に引き込まれた。井山さん、そしてカクテル『雪国』がなぜここまで多くの人から愛されているのか。映像を通して探りたい」と話す。
映画の撮影は昨年11月にスタート。渡辺監督によると、これまで3回にわたって井山さんのインタビューを実施。今年4月以降、全国各地のバーテンダーへの取材を行うなど本格的な撮影に入り、今冬にクランクアップ。2017年初夏の上映を予定している。上映時間は100―120分を想定。
一方、井山さんは今回の映画について「どのような映画になるか、全く想像がつかない。後々まで残るものなのでありがたい」と話した。