2016年(平成28年) 6月19日(日)付紙面より
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国指定重要文化財「羽黒山荒澤寺正善院黄金堂」(鶴岡市羽黒町手向、島津弘海住職)で進められていた屋根の全面銅板ふき替えや防災設備改修事業と、境内にある「於竹大日堂」の大改修が完了し18日、現地で落慶法要が盛大に行われた。県内外から訪れた檀(だん)信徒約200人が参列し、半世紀ぶりとなる大改修を祝った。
黄金堂の建立時代は明らかでないが、1193(建久4)年に源頼朝の再建といわれ、1596(文禄5)年に酒田城主甘糟備後守によって建て替えられたのが現在の堂とされる。かつては出羽三山詣での羽黒口で最初の拝所として参拝客を迎え、堂にある等身大の三十三体の観世音菩(ぼ)薩(さつ)が黄金色に映えることから、黄金堂と呼ばれるようになった。
国の認定を受けた「鶴岡市歴史的風致維持向上計画」で、出羽三山詣での門前町である手向地区が重点区域の一つであることから、「平成大修理」として昨年度まで2カ年かけて修繕。屋根全面銅板ふき替えや防火用のポンプ室などを設置。江戸時代の創建以来となる敷地内にある「於竹大日堂」も全面改修し、屋根を銅板にするなどした。事業費は国、県、市の補助金などを含め約9400万円。
この日は午前9時からほら貝の音を合図に、羽黒修験式衆や東北三十六不動尊霊場式衆らが近くの宮田坊から山門までを行列。引き続き境内で回向柱開眼法要が行われ、黄金堂に安置された三山大権現と於竹大日堂内の於竹大日如来の御手を結んだ「五色の綱」が結ばれた回向柱前で読経。その後、於竹大日堂、黄金堂でそれぞれ法要を行った。
黄金堂では今年9月25日から10月30日まで、出羽三山の神仏和合の姿を伝える3体の秘像「出羽三山大権現」と、於竹大日如来の御開帳が行われる。特別拝観料500円。問い合わせは正善院=電0235(62)2380=へ。