2017年(平成29年) 7月1日(土)付紙面より
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8月2日に酒田港で初の外国クルーズ船「コスタ・ネオロマンチカ」(5万7150総トン、乗客定員1800人、クルー600人)が寄港するのを控え29日、「酒田港クルーズ船おもてなし研修会」が酒田市のマリーン5清水屋で開かれた。先進地の視察報告などを通じ、埠頭(ふとう)や市街地での対応、2次交通など受け入れの在り方を学び、市を挙げたもてなしへの機運を高めた。
酒田商工会議所(弦巻伸会頭)と酒田市、今年2月に市内の官民で設立した酒田交流おもてなし市民会議(会長・丸山至市長)の3者が共催。各機関の関係者ら約80人が参加した。
初めに酒田商工会議所青年部の渡部敦会長が5月、金沢港(石川県)でコスタ・ネオロマンチカ入港を視察した様子を報告。船会社が企画するオプショナルツアーは、約80キロ離れた観光地まで行ったことを挙げ、「酒田港に当てはめると、鳥海山鉾立や出羽三山神社までが各約40キロ、最上川船番所が約50キロで、80キロというと新庄や尾花沢まで入る」と説明。「金沢は(観光客の受け入れに慣れ)365日同じようにもてなしている印象。一般市民一人一人のおもてなし意識の向上は必須」と訴えた。
続いて国土交通省酒田港湾事務所の上原修二所長が5月、境港(鳥取県)で同船の寄港を視察した様子を報告。漫画家・水木しげるの出身地ということで、ゲゲゲの鬼太郎の格好をした人が埠頭で案内したり、商店街も「水木ワールド」に徹した演出で盛り上げている様子を紹介した。また、酒田港に同船を迎える際の留意点として、「1000人以上が乗ってくる。ノープランで下船する人が多く、そういう人たちをいかに市街地に誘導し、回遊させるかが鍵」「行政は限定的にしか関与できない。民間がリスクを取り、工夫を」など提言した。
最後は酒田市商工港湾課の箭子英雄港湾空港交通主幹が、同船のおもてなしの計画概要を説明。入港時は古湊埠頭で羽黒山伏や祭りの山車などで歓迎するほか、物販や体験ブースを設ける。埠頭―中町間でシャトルバス、清水屋前―山居倉庫―本港地区を巡る周遊バスをそれぞれ運行し回遊を促す。中町モール周辺には物産市や観光案内所、甲冑(かっちゅう)・着物着付け体験コーナーなどを設ける構想で、「寄港をきっかけに街中全体が活性化するように、酒田らしいおもてなしを構築していこう」と呼び掛けた。