2017年(平成29年) 7月7日(金)付紙面より
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大阪港などで特定外来生物「ヒアリ」が見つかったことを受け、県港湾事務所(菅井時弘所長)は5日、酒田市高砂の酒田港国際ターミナルで職員が目視でヒアリがいないか点検するとともに、コンテナの周囲などに殺虫餌を設置し、安全対策を講じた。
ヒアリは南米原産で、体長2・5―6ミリ、土中に塚を作ってすむ。強毒を持ち、刺されるとやけどのような激しい痛みが生じるため、英名は「fire ant」、和名は「火蟻」と表記される。貿易の拡大とともに世界に広がり、既に中国や台湾にも定着。わが国では今年6月18日に神戸港で見つかったのを皮切りに、同30日に名古屋港、今月3日には大阪港でも見つかった。
大阪港で見つかった場所が中国からのコンテナ貨物を多く扱う場所だったため、国土交通省は4日付で、酒田港を含め、中国との定期コンテナ航路を持つ全国の63港の港湾管理者に対し、コンテナヤードとその周辺に殺虫餌を設置するなど適切な対策を講じるよう要請した。酒田港のコンテナ船は現在、週4便で、うち2便が中国の寧波・上海を経由している。
この日の酒田港の点検は国の要請を受けたもので、午後2時ごろから約1時間、県港湾事務所の職員4人が実施した。国際ターミナルの主に輸入コンテナを置くヤード約6ヘクタールで、コンテナ周りや舗装の隙間などを、ヒアリがいないか目視で点検し、殺虫餌を置いた。アリがいた場合は殺虫剤を吹き付け、通常のアリと区別が付かない場合はセロハンテープに貼り付け、事務所に持ち帰って精査した。
土門敦彦副所長は「酒田港は世界とつながっており、いつ入ってくるか分からない。気を引き締めて対応したい」と話した。
この日に捕まえたアリはいずれも通常のアリだった。今後はアリのトラップも設置し、定期的に点検する。もし、ヒアリと疑われる個体が見つかった場合は、環境省の出先機関の東北地方環境事務所(仙台市)に送り、精査してもらうという。