2017年(平成29年) 12月19日(火)付紙面より
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酒田市内の路線バスの利用促進に向けた「バス交通ファンクラブ」が設立され17日、初会合を市役所で開いた。バスの利用者や関心を持つ市民が参加し、路線バスの課題や利用促進に向けたアイデアを話し合った。
市商工港湾課によると、市内では市営バスと庄内交通で計20の路線バスが運行されている。しかし、自家用車の普及などによって年々、利用者は減り、路線の維持は困難化。昨年7月に策定した市地域公共交通網形成計画では2020年度までに、中心市街地で競合している庄内交通と市福祉乗り合いバス「るんるんバス」の各2路線を統合するなど、市全体の路線バス網を再編し、待ち合いなど周辺環境も見直し、持続可能な体制を整備する方針。ファンクラブは、同計画に利用者らの声を反映させるとともに、バスへの関心を高め、利用増につなげようと市が設立。東北公益文科大の学生を含め約30人が参加した。
初めに市商工港湾課と庄内交通バス課の担当者が情報提供。市民アンケートでは、バスの利用者は約10%だが、「今後利用したい」が約24%おり、潜在的な利用を掘り起こせる可能性はあるという。また、現在子育て中の親世代はバス利用の経験が少ないため、バス会社では幼稚園や小学校でバスの乗り方教室を開くなど、利用促進の取り組みが紹介された。
続くワークショップでは5、6人ずつの6グループに分かれ、「酒田市の路線バス、ここがだめ!」をテーマに意見交換。「1路線の距離が長く、病院など目的地まで行くのに時間がかかる」「本数が少ない」「列車の時間と合わない」「買い物など荷物が多いとハイヤーを使う」「最終便が早過ぎる」などの意見が出た。
利用促進に向けたアイデアでは「免許を返納したら、バスは生涯無料で乗れるように」「自転車も積めるシステムを」「車体はもっと小型化し、本数を多く」「酒田だけでなく、周辺市町との連携も考え庄内全体で広域的な再編を」などが挙がった。
その後、東北公益文科大の神田直弥教授の講義「競争型課題解決演習」で今春から公共交通の利用促進について調査している2、3年生たちが、自分たちで考えた路線バスの利用促進策を発表。「ファンクラブ会員に会員証を発行し、乗るたびにもらえるスタンプを集め、抽選で温泉宿泊券などが当たる」などのユニークなアイデアを提言した。
商工港湾課の担当者は「高齢化に伴う免許返納や買い物難民の問題、人口減少が進む中で定住促進に向けた『住みやすいまち』づくりの観点からも、路線バスは重要。市民全体の関心を高めたい」としている。
次回は来年3月ごろに開き、今回出た課題やアイデアを整理し、議論を掘り下げていく方針。