2017年(平成29年) 7月9日(日)付紙面より
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県工業技術センター庄内試験場は、着色料や香料を使わずに果実そのものの色や風味を維持するメロンジャムの新たな製造方法を開発した。メロンなどのウリ科の植物は加熱すると変色し、苦味や青臭いウリ臭が出るなど加工が難しいとされているが、加熱処理方法を工夫することで課題を解決し、メロンの風味を保ったジャムの製品化を実現した。庄内特産メロンの高付加価値化につながるものとして期待されている。
生食以外の市場拡大を目的にした県のプロジェクトの一環で、2年前から研究開発を進めてきた。果実本来の味や香り、色を保持することが最大のテーマだったが、共同研究の慶應義塾大先端生命科学研究所(鶴岡市)によるメタボローム解析などで品質の数値評価を行い、最適な加工条件を明らかにした。
メロンジャムは大手ジャムメーカーでも製品化に至っていないが、新たに開発した製法は特殊な機械装置が不要で、工夫した加熱処理とともにメロンジャムに適したゲル化剤を使用するなどして低コストでの量産を可能にした。
この新製法を活用して、鶴岡市の櫛引農村工業農業協同組合連合会(JA櫛引農工連)が、庄内産メロンを原料にした青肉系と赤肉系の2種類のジャム「プレミアムメロンジャム」を商品化。9日(日)に同市の小真木原公園で開催される「第3回全国メロンサミットin鶴岡」のイベントサミットで、限定各100個を販売する。
価格は青肉、赤肉どちらも1個500円(容量110グラム、税別)で、サミット後はJA櫛引農工連の本社で販売するほか、インターネットでの販売も予定している。
2017年(平成29年) 7月9日(日)付紙面より
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在来作物の「外内島キュウリ保存会」(阿部正一会長)の栽培技術研修会が7日、鶴岡市伊勢横内のほ場で行われ、学校で栽培に取り組んでいる庄内農業高校生物環境科の生徒8人も参加し、収穫時期や種取りなどについて学んだ。
外内島キュウリは一般的なキュウリに比べて短く、楕円(だえん)形に近い形で、果頂部は淡い緑白色。緑色の濃い部分にほろ苦味があるみずみずしさのある昔ながらのキュウリ。同保存会は市内全域の農家7人が所属し栽培。産直や漬物店などに出荷し普及を図っている。
庄内農高では地域連携事業として昨年から外内島キュウリの栽培に挑戦。栽培に手間が掛かる上、収穫量が少なく、病害虫に弱いといった在来作物の特徴をじかに学んでいる。
この日の研修会は収穫期を迎えた中で行われ、初めに阿部会長が収穫期を延ばすために4月10日の種まきから順に時期をずらして遅いものは6月初めに定植したことを説明。6月に気温が低かったことから例年より2週間ほど収穫が遅れているとした。実際に露地の畑の中でつるの状態などを見せながら、高校生たちに無農薬のもぎたてを切って味見させた。
佐藤悠麻さん(17)は「苦味にびっくり。自分たちの畑では苦いのと、誰でも食べられるそんなに苦くないのを作ってみたい」と話していた。
阿部会長は「スティックにして低温でゆっくり揚げるてんぷらやゴーヤチャンプルーのゴーヤを外内島キュウリに替えてもらってもおいしい。たくさん食べてもらって大切な食文化を守っていきたい」と話した。