2018年(平成30年) 1月10日(水)付紙面より
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しけが続く冬の庄内浜の磯場で、わずかに訪れる穏やかな日和をうかがいながら、岩ノリの摘み採り作業が行われている。青空が広がった8日午前は、防寒具に身を包んだ住民らが波打ち際に繰り出し、数日ぶりの作業に精を出した。
岩ノリは正月の雑煮や寒ダラ汁などには欠かせない冬の味覚。例年12月ごろから2月ごろまでが収穫期で、波の穏やかな日に磯場で見られる摘み採り作業は庄内浜の冬の風物詩だ。雪が舞う時季に採れることから「雪ノリ」とも呼ばれる。
8日午前は、各磯場に地元住民らの姿が見られた。鶴岡市今泉で作業した地元の男性漁師(76)は、黒々とした岩ノリをむしるように採り、振りほどくようにしてざるの中に収めた。海側に体を向けて常に高波に気を払い、2時間ほどかけてソフトボール大の塊4つ分集めた。男性漁師は「出たのは正月以来。明日からまた荒れそうだから、今日いっぱい頑張りたい」と話し、「そのまま食べるのが一番。口いっぱいに磯の香りが広がる」と採りたてを味見させてくれた。