2018年(平成30年) 4月12日(木)付紙面より
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鶴岡市下川の龍澤山善寳寺(五十嵐卓三住職)と東北芸術工科大が取り組む「五百羅漢像修復プロジェクト」で、昨年度までの分として12体が修復を終え、寺に戻った。湿度などの環境に慣れさせるため現在保管所に安置されているが、20日(金)に元の位置に戻し、開催中の五百羅漢堂特別拝観でも公開される。
同プロジェクトは、創建から160年が経過した五百羅漢堂内部に安置される羅漢像など531体に剥落や部分的な欠損など老朽化が進んでいることから、善寳寺の委託を受けた同大が現状維持修復に当たっている。損傷の進行を食い止めるとともに、傷みや汚れを風格に置き換えるもので、2016年度から着手し、20年余で網羅する計画だ。3月25、31日の2回に分けて修復完了分が初めて寺へ運び込まれ、保管所である竜華庵内部で安置されている。
10日、修復を指揮する同大付置研究機関の文化財保存修復研究センターから関係者が寺を訪問。本年度16体の修復など今後の作業の日程を確認した。また、修復が完了した羅漢像を報道陣に公開。修復を統括する同大の柿田喜則教授(48)が、剥落止めを施した部分など修復箇所を説明した。
柿田教授によると、五百羅漢堂内部は年間を通じて高湿度で安定し、羅漢像にとっては比較的良好な環境だったことが判明。また、「仏師名とみられる文字を確認しているが、主たる仏師なのかは、まだ断定できない」という。このほか、羅漢像は修復の手が加えられていなかったとみられていたが、一部には修復の痕跡を確認できている。