2018年(平成30年) 4月17日(火)付紙面より
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庄内を拠点に東北地方への外国人観光客の誘致を推進している一般社団法人「みちのくインバウンド推進協議会」(熊谷芳則理事長)によるタイ視察・交流事業が11―15日の4泊5日の日程で実施された。庄内、最上両地域の官民の関係者が首都・バンコクや世界遺産アユタヤ遺跡などを訪れ、文化省大臣やアユタヤ県知事らの歓迎を受けるなど、日タイの相互交流に向けた絆を強めるとともに、国際的な観光やおもてなしの在り方などを学んだ。
同推進協は2015年9月、東北地方の観光、行政の関係者らで設立。当面はタイをターゲットに、旅行会社のモニターツアーやテレビ局の取材クルーの招致で「東北」の認知度を高めながら、一般ツアーの拡大を図っている。今回はこれまでの送客への返礼や、将来のタイ・バンコク―仙台間の定期航空機復活に向けた機運醸成を兼ね、同推進協が鶴岡市内の観光関係者によるインバウンド招聘(しょうへい)鶴岡実行委員会(石原純一会長)と連携して実施した。
参加者は、旧庄内藩酒井家第19代で致道博物館副館長の酒井忠順さん(43)=鶴岡市=や新庄市の山尾順紀市長、大蔵村の加藤正美村長、戸沢村の渡部秀勝村長、鶴岡市の山口朗副市長、酒田市の矢口明子副市長をはじめ、庄内、最上両地方の行政、観光、宿泊、金融、交通の関係者ら65人。同国の海外旅行のトレンドをけん引している旅行会社「ワールドプロトラベル」(ルンナパ・カンパヤ社長)がタイ国際航空や民放最大手のチャンネル3などと連携して受け入れた。
一行は初日の11日、花巻空港(岩手県)からチャーター便でタイ・バンコクのスワンナプーム空港に到着。文化省のチャウィラット副大臣らの歓迎を受けた。12日はパトロールカーの先導でアユタヤのチャオ・サン・プラヤ国立博物館などを見学。近くの公園で、文化省のウィラ大臣やアユタヤ県のスジン知事らによる歓迎式典と、タイの旧正月「ソンクラン」(水掛け祭)の伝統行事に参加した。13日は街なかに繰り出し、「道行く人なら、誰に水を掛けてもいい」というソンクランに参加し、夕方はチャオプラヤ川でディナークルーズを体験。14日はアユタヤ遺跡を見学後、ワールドプロトラベル主催の歓迎祝賀会で歓待を受けた。王族を大切にするタイで酒井さんは「日本で旧領地に残っている数少ない殿様の一人」として注目され、各地で厚遇を受け、参加者を驚かせた。
これまで同推進協のタイ観光客を新庄祭や雪遊びなどで受け入れてきた新庄市の山尾市長は「人口減少の中でインバウンド(外国人誘客)は重要。来てもらうためにはこっちからも行き、人と人との絆を築くことが重要と再認識した」と感想。同推進協の熊谷理事長は「行ってみて、タイの人たちがいかに多くの時間と経費をかけてこっちに来ているか、実感してもらえたのでは。その思いをより良いおもてなしにつなげ、一層の誘客増を図るきっかけになれば」と話した。ツアーには荘内日報社酒田支社長の富樫慎が同行した。後日、同行記を連載の予定。