2018年(平成30年) 4月17日(火)付紙面より
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新潟市のJR新潟駅の在来線高架化工事が進み、羽越本線の特急いなほと上越新幹線の同一ホーム乗り換えが15日、利用を開始した。東京方面と庄内方面を行き来する旅行者ら多くの利用者が平面移動でスムーズな乗り換えを体感し、「乗り換えがとても楽になった」などの感想が聞かれた。羽越本線と上越新幹線を乗り継いで首都圏と行き来する利便性が大きく向上し、交流拡大による庄内地域の観光振興、地域活性化への期待が高まっている。
在来線高架化は新潟駅連続立体交差事業に伴うもので、今回は第1期開業として在来線の2―5番線ホームを新幹線と同じ高さにした上で、特急いなほが止まる5番線と新幹線の11番線が同一ホームとなり、平面乗り換えが可能となった。高架化の事業費は約15億円で、新潟市、新潟県、JR東日本が負担した。
いなほの上下7往復14本のうち、上り5本、下り6本が同一ホームで乗り換え可能となった。同一ホーム新幹線の11番線は12両編成までの乗り入れのため、乗り継ぎが16両編成の新幹線の場合は他の新幹線ホームへの移動が必要。今後、12両編成への新車両更新に併せ、3年後をめどに全てのいなほが同一ホーム乗り換えとなる見込み。
この日は新潟駅で開業セレモニーがあり、篠田昭新潟市長、米山隆一新潟県知事らがあいさつ。今井政人JR東日本新潟支社長は「この日を待ち望み、一番列車が出た時は涙が出そうになった。同一ホームを新潟から村上、庄内、秋田への観光の足掛かりにし、沿線地域の活性化につなげたい」と述べた。テープカットに続き、同一ホーム利用者に記念の米粉パンのプレゼントがあった。同日は鶴岡、酒田駅でも、いなほ乗客へのおもてなしイベントが繰り広げられた。
鶴岡の実家への帰省で、乳児を抱えて新潟駅で新幹線からいなほに乗り換えた東京都品川区の高橋美香さん(36)は「以前は子どもを連れて階段移動して乗り換えるのが大変だったけど、とても便利になって助かります」、庄内へのツアーの女性添乗員は「車椅子利用の参加者もスムーズに乗り換えられ、移動が楽だった。首都圏と庄内の行き来がしやすくなる」と話していた。
特急いなほと上越新幹線が同一ホーム乗り換えで一体化する形となった。庄内地域では出羽三山、北前船寄港地、サムライゆかりのシルクが相次いで日本遺産に認定され、2019年10―12月には新潟県と庄内地域を対象にした大型観光キャンペーン「新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン(DC)」が控え、今年10―12月にはプレDCも展開される。インバウンド(訪日外国人旅行)も見据え、首都圏からの誘客促進に期待が高まっている。