2018年(平成30年) 6月14日(木)付紙面より
ツイート
鶴岡市の致道博物館で保存修理工事が行われていた旧鶴岡警察署庁舎(国指定重要文化財)が完成、15日(金)から一般公開される。来館者先着500人に記念品「根付け用御殿まり」をプレゼントする。
旧鶴岡警察署庁舎は1884(明治17)年、同市馬場町に建設。初代県令・三島通庸が明治新政府の威容を示すため建築したといわれる。1957(昭和32)年、同博物館内に移築復元され2009年に国の重文に指定された。保存修理工事は老朽化が進み、地盤の浮沈で建物自体が傾くなどしていたことから、国や県、市などの支援を受けて13年11月から行われていた。
記念品は首都圏在住の鶴岡市出身者でつくる「首都圏鶴岡会」の小林武会長(84)=千葉県=が寄贈したもの。小林さんは鶴岡工業高建築科を卒業後、都内建築会社を経て、定年まで千葉県庁で住宅・建築関係業務に従事した。
記念品の寄贈について小林さんは「戦後の物資不足の中で旧鶴岡警察署など重要建築物は生きた教材だった。私の生業の原点への感謝と、古里の人たちに民芸品の素晴らしさを伝えたいとの思い」と話していた。
公開を前に同博物館は「多くの寄付や協力を頂き、5年の歳月をかけて完成した。たくさんの人に見に来てほしい」と話している。
2018年(平成30年) 6月14日(木)付紙面より
ツイート
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動を支える「国連UNHCR協会」(東京都港区、滝澤三郎理事長)が、全国の学生を対象に募集した「学生アイデア・コンペ―UNHCRの活動支援キャンペーン」で、酒田市の東北公益文科大3年、佐藤巴瑠貴さん(22)=酒田市出身=が企画したカードゲーム「1週間サバイル アプリとワークショップ」が最高賞の一つ「ベスト・クリエイティブ賞」を受けた。難民生活を疑似体験するシミュレーション型カードゲームを通して支援の在り方を考えるもの。佐藤さんによると、クラウドファンディングで資金を集め、8月に試作品を完成させる予定。
佐藤さんは小学3年の時、難民が強いられている苦しい生活をテレビ番組で目の当たりにし、「なぜこんなに境遇が違うんだろう」と考えたという。これをきっかけに難民支援に興味を持ち始め、「大学在学中に何かしらの行動を起こしたかった」(佐藤さん)ことから今回、企画コンペに応募することにした。
佐藤さんの企画は、これまで難民問題に関心がなかった人にもアピールできるよう、多くの人が親しめるゲームに着目。生き残りをかけたシミュレーション型カードゲームを通し、難民キャンプの生活を理解した上で、支援の在り方について理解を深めていく内容になっているという。
1次審査(書類審査)を経て、佐藤さんを含め4人が今年3月に同協会本部で行われた本審査に。コンペでは、審査員から「ゲームという手法を活用したアイデアは、日本ならではの独自性もあり、世界に発信することで世の中を変えていく可能性がある」などと高い評価を受けたという。
ゲーム開発を目指し佐藤さんは、学生や社会人約10人とプロジェクトチームを結成。現在、同協会のサポートを受けながらゲームデザイン、印刷などの作業を進めている。7月から資金調達を開始、8月までに試作品を完成させて今秋に開催されるイベントでお披露目。正式な商品化は来年早々の予定という。将来的にはスマートフォンなどのアプリゲームへの移植も視野に入れているという。
佐藤さんは「教育現場などでワークショップ形式で活用してもらうことで、難民に関心がなかった人たちから支援の必要性を理解してもらえたら」と話している。