2018年(平成30年) 8月22日(水)付紙面より
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中央省庁が雇用する障害者数を水増ししていた問題を受け、知事部局などの雇用状況を調査していた県は20日、障害者手帳を所持していない69人の職員について「医者の診断書や意見書による確認をせず、本人の申告のみで障害者雇用者数に計上していた」と明らかにした。40年以上にわたり同様の方法で障害者雇用率を算定してきたが、県総務部は「故意の水増しではなく制度の理解が不十分だったため」と説明した。
同日、県庁で記者会見が開かれ、泉弘之総務部次長などが本県の雇用率制度の状況について説明した。県によると、今年6月1日現在で知事部局(企業局、病院事業局を含む)が障害者として雇用しているのは122人。このうち69人(いずれも身体障害者)が手帳未所持者だった。
厚生労働省のガイドラインでは、県の指定医や産業医による診断書、意見書による確認を行うことが求められているが、本県では人事異動などの時期に職員から集める調査票を基に、本人の申告で障害者に当たるか担当者が判断していた。診断書等による確認は、身体障害者雇用促進法が改正された1976(昭和51)年に国から通知があったが、「通知の内容を十分に確認せず、77年以降は本人の申告を基に計上した数値で厚生労働省へ雇用率を報告していた」(同課)という。2005年に厚生労働省がガイドラインを示した後も、自己申告を基にした計上を続けていた。
県は今年6月1日現在の障害者雇用率を2・57%と厚生労働省に報告しているが、手帳所持者のみで算定すると1・27%となり、障害者雇用促進法に基づく地方公共団体の法定雇用率2・5%以上を大きく下回ることとなる。同課は「関係者に大変な迷惑を掛けた。心からおわびする」と陳謝するとともに「今後、手帳未所持者から協力してもらいながら、診断書などの確認を進める。2カ月をめどに精査し、雇用率が目標に届かなかった場合は新たな確保に努めたい」と話した。
一方、県教育委員会では同様の問題は発生していないものの、今月20日の障害者雇用率は2・39%で法定雇用率の2・4%にわずかに届いていない。県教委総務課は「現在、公共職業安定所を通して募集を行っている。今後さらに雇用を進めたい」としている。
2018年(平成30年) 8月22日(水)付紙面より
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東北公益文科大学(酒田市)の吉村昇学長は20日に会見を開き、米国・セントラルコネチカット州立大学、ロシア・イルクーツク総合大学とそれぞれ学術交流協定などを締結したと発表した。海外の大学との協定締結は7、8校目。
セントラルコネチカット州立大は1849年創立の名門。当初は教員養成校だったが、現在は80分野100専攻を有する総合大学で約1万人が学んでいる。昨年7月、同大のキャンディス・バリントン教授(中世英文学)が公益大を訪問し特別講演している。今年6月にデビット・ドワルダー教学担当副学長と吉村学長が覚書にサインした。学習の進化・普及に向け、教職員・学生の相互交流、共同研究などを実施する。
一方、イルクーツク総合大学は1918年創立で今年、100周年の節目を迎えた。現在は19学部に約1万5000人が学んでおり、このうち約700人は世界40カ国からの留学生。公益大は2016年から短期語学留学の学生を派遣、これまでに20人がロシア語の習得に励んだ。今月13日にK・V・グリゴリチェフ研究・国際協力担当副学長と、松田憲公益大教授(公益大国際交流センター長、応用言語学)がサインを交わした。学生・教員の派遣と受け入れ、互いに10日間ほど訪問し合う研修旅行などを行う。
この日は吉村学長と松田教授、玉井雅隆准教授(国際関係論、多文化共生論など)の3人が会見。吉村学長は「いろいろな民族がおり、さまざまな言語が飛び交うキャンパスを構築したい。酒田は港都でクルーズ船も訪れている。市の発展に向けて大学として協力していきたい」と話した。松田教授は「協定を基に交流を深めていきたい」、玉井准教授は「締結は交流の第一歩。ここから発展させていけたら」とそれぞれ述べた。
吉村学長によると、モンゴルやインドなどアジア地域の大学と協定締結に向けた準備を進めているという。