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2018年(平成30年) 5月30日(水)付紙面より

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初の海外開催「北前船寄港地フォーラムin大連 大連と観光交流拡大へ

 江戸期から明治期にかけて遠隔地交易の主役だった北前船の寄港地関係者らが交流を深める「第23回北前船寄港地フォーラムin大連」が27日、海外で初めて中国・大連市で開かれ、日本側からは約600人が出席。庄内地域からも訪中団(団長・丸山至酒田市長)を組織し計48人が参加した。昨年4月に酒田市など7道県の11市町で登録、今回新たに14道府県の27市町が加わった日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間―北前船寄港地・船主集落」のネットワークを生かした観光振興など地域活性化対策を提言した。

 フォーラムは、作家で酒田市美術館長の石川好さん(北前船寄港地フォーラム議長)が提唱した「北前船コリドール構想」に基づき2007年11月、新田嘉一平田牧場グループ会長が中心になって酒田市で第1回を開き、規模を拡大しながら全国の寄港地で随時開催している。昨年8月にはJR東日本、ANA総合研究所、平田牧場グループなどで一般社団法人「北前船交流拡大機構」(理事長・浜田健一郎ANA総合研究所シニアフェロー)を設立し、地域間交流の促進で地域活性化を図る体制を強化した。

 大連でのフォーラム開催は、機構設立時から事業の一つとして打ち出していたもの。フォーラムには国内の主要経済人が主催に加わり、国内最大規模の地域交流フォーラムとなっていることから、昨年7月に岡山県で開かれた第20回大会に大連市関係者が訪れ、同市への観光誘客を視野に交流を打診してきた。機構側の地域間交流を拡大する狙いと合致し、初の海外でのフォーラム開催が決まった。

 今回は「2018中日観光大連ハイレベルフォーラム」を兼ね、大連市中心部のフラマホテルで行われた。開幕式で、石川議長は寄港地フォーラム開催に至った経緯を紹介した上で、「北前船コリドール構想は、習近平国家主席が提唱した経済圏構想『一帯一路』の日本版。日本と中国の『一帯一路』をここ大連で結び付けられ、コリドール構想提唱者として大変感慨深い」とあいさつ。北前船日本遺産推進協議会長を務める宮元陸・石川県加賀市長は「フォーラムは日本海沿岸地域の活性化に寄与してきた。大連での開催はコリドールが環日本海に発展したことの象徴。今回追加認定を受けた27市町を含め全38市町が連携を強め、交流人口の増加を図っていこう」と述べた。

 追加認定された自治体代表者によるくす玉割りに続き、日中両国の計6人が基調講演。このうち日本観光振興協会の久保成人理事長(前観光庁長官)は「酒田市でスタートしたフォーラムが海を渡って初めて海外で開催された。船が主人公なので海外で開催しても何ら不思議ではなく、これからも諸外国で開くことができたら」と話し、「北前船交易は知恵と情報力の勝負だった。センスに恵まれた人たちがビジネスチャンスを捉え、資産を蓄えてきた。これは現在の社会に通じる話」と語った。

 同日夜に行われた庄内訪中団会合で丸山市長は「思い出深いものになったと思う。来年8月には大連市の関係者を招き、新潟市でフォーラムが開かれる。大連の皆さんが庄内を訪れた際には温かいおもてなしをしたい」、沼澤好徳県庄内総合支庁長は「来年は『新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン』の本番。大連との交流を深めるためにも、新潟でのフォーラム参加の大連市関係者を庄内に招きたい」と総括した。

 一方、寄港地フォーラム前日の26日夜にはレセプションが行われ、二階俊博自民党幹事長が「大会開催を大変うれしく思う。今宵の素晴らしい出会いを大切に、これからも心一つにしていこう」、機構最高顧問の大橋洋治ANAホールディングス相談役が「日本と中国は2000年にわたる交流の歴史があり、両国民の相互理解で友好関係をさらに深めていけたら。ANAグループも協力したい」とそれぞれあいさつした。

初の海外開催となった「第23回北前船寄港地フォーラムin大連」=27日午前
初の海外開催となった「第23回北前船寄港地フォーラムin大連」=27日午前


2018年(平成30年) 5月30日(水)付紙面より

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地域の暮らしと文化体験

 鶴岡市温海地域などへ25日までに、仙台市と札幌市の中学校2校からそれぞれ約160人が教育旅行として訪れた。体験学習の受け入れに地元自治会や観光業などが協力し、地域の暮らしや文化に触れる体験学習を支援した。

 日程はそれぞれ、仙台市の宮城教育大付属中が5月17日から1泊2日、札幌市立西陵中は24日から2泊3日で山形市や鶴岡市を訪れ、このうち25日に温海を訪問。

 受け入れの調整役を務めたのは、地元のNPO法人「自然体験温海コーディネット」(五十嵐伊都夫会長)。同NPOは、温海地域の豊かな自然や文化を生かした体験型観光を提供しており、今回の大規模人数の受け入れには体験アクティビティーで培った協力団体のネットワークが生きた。

 同NPOとしては初めて受け入れの窓口となった宮城教育大付属中の教育旅行では、温海を中心に鶴岡市三瀬、村上市山北から計約30団体が協力。「生き方を養う」の学習テーマに沿って農業・漁業体験や、自治会の活動、旅館の職業体験などを提供した。

 このうち廃校した小学校校舎を活用した宿泊施設「小国ふる里ふれあい村楯山荘」では、5人が訪問。布団の掃除といった作業や宿泊客を歓迎する黒板アートの制作に取り組んだほか、管理人の五十嵐敏也さん(62)から廃校利用の経緯や課題を学んだ。

 同校2年の千葉愛可さん(13)は「廃校後、30年間も宿泊施設として活用し続けてきた地元の人の勇気がすごいと思った」。最終日の18日、昼食は小国で「ひきずり」と呼ばれるひっぱりうどん。お世話になった五十嵐さんへのメッセージをホワイトボードにしたためて楯山荘を後にした。

 温海温泉林業センターで行われた退村式では、受け入れに協力した住民らとの別れを惜しむ姿が見られた。

 札幌市の西陵中は25日午後の受け入れ。4グループに分かれて農林業体験の後、萬国屋で山五十川歌舞伎体験。地元役者と一緒に隈(くま)取りや見え切りで盛り上がった。

 両校のいずれの日程でもトラブルなく無事に終了。自然体験温海コーディネット事務局長の冨樫繁朋さん(39)は「関係各所の調整など、今後の受け入れに向けても得たものは大きい。教育旅行を通して生徒が得たこの地域とのゆかりや縁は、将来、この地域にとっても生きてくるはず」と話した。

宮城教育大付属中の生徒たちが温海などの受け入れ先で体験学習。楯山荘では黒板アートでウエルカムメッセージを制作した=17日
宮城教育大付属中の生徒たちが温海などの受け入れ先で体験学習。楯山荘では黒板アートでウエルカムメッセージを制作した=17日

山五十川歌舞伎の役者と一緒に隈取りをして見えを切る西陵中の生徒たち=25日(五十嵐丈さん提供)
山五十川歌舞伎の役者と一緒に隈取りをして見えを切る西陵中の生徒たち=25日(五十嵐丈さん提供)



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